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パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.8 安沢明也 前編【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第220回】

VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのは女性を専門に指導歴10年、延べ1万人以上を指導してきた安沢明也トレーナーです。安沢さんはかつて新日本プロレスで活躍した元プロレスラーでもあります。前編ではその歩みを紹介していきます。

少し前からのプロレスファンの方なら「安沢明也」という名前を聞いて、ピンとくる方もいるかもしれません。安沢さんは2003年~2006年まで新日本プロレスの若手レスラーとして活躍し、小柄ながらも気迫を前面に押し出したファイトで人気を集めたプロレスラーでした。

 

デビュー3ヵ月で年間最大のビッグマッチ、東京ドーム大会に出場をはたし、05年にはIWGPジュニアタッグ王座に挑戦と、順調にステップアップ。これからを期待される中、06年1月に25歳の若さで引退を決断します。

 

「ちょうどその頃、選手の退団や引き抜きみたいな噂がいろいろあってゴタゴタしていて、自分の中でも先のことを考えました。IWGPジュニアタッグのベルトにも挑戦できたし、ある程度プロレスラーとしてやったので、もういいかなと思ったんです」

 

周囲からは引退を惜しむ声があったものの、当人はいたって冷静に新たな道への挑戦を考えていました。大好きな料理を極めるために料理人の道に進むか、それともプロレス入門以前からパーソナルトレーニングを受けていた経験をもとにパーソナルトレーナーを目指すか、二つの道を熟考した末にパーソナルトレーナーの道へ。07年には独学でNSCA-CPTの資格を取得しました。

 

パーソナルトレーナーとしての新たな道は、決して順風満帆ではなく、安沢さんはいきなり壁にぶつかることになります。

 

「パーソナルトレーナーを始めたけど、最初は全然集客ができませんでした。技術もまだ全然なかったのですが、それ以前の問題としてお客さんを集める方法を知らなかったんです」

 

トレーニング指導のスキルをいくら磨いたとしても、それを伝えるお客様がいなければ宝の持ち腐れ。そこで安沢さんは多くのビジネスセミナーに出向いて勉強に没頭します。

 

「プロレスラーになる前は“餃子耳=強い”みたいな憧れがありました。だけど、いざ闘いの世界を離れたら、“餃子耳=頭が悪い”と思われるのではないかという、自分の中に学歴コンプレックスがあったんです。それを払しょくするために、ビジネス系のセミナーにたくさん通って勉強しました。1000万円くらい使う勢いでした」

 

必死にトレーニングをしてプロレスラーになったように、必死に勉強をすることで、マーケティングをイチから学び、少しずつ集客ができるようになっていきます。そうした中、毎月100万円の赤字を出す女性専門ジムから「店長をやってみませんか?」と誘いを受け、経営状態の改善に着手。店舗をリニューアルし、ブランディング、ネット広告、SNS集客など、あらゆることを駆使して、成果を上げることに成功。手応えと自信を得ると、独立して活動していくことになります。

現在の安沢さんは女性専門パーソナルトレーナー。顧客を女性に絞った理由は、よりサポートを必要としているのが女性だからだと言います。

 

「男性は少し教えればある程度できるようになる人がほとんどです。でも女性は教えてもなかなかできない人が多くて、月に1回では1ヵ月後には全然やることが違っていたりします。それでも週1回サポートすることでしっかり変わってもらえるので、今は女性をターゲットにパーソナルをやっています」

 

もう一つの顔であるコンサルティングに着手したのは、たくさんの人を元気にしたいという思いから。集客ができてクライアントに寄り添った接客のできるパーソナルトレーナーを育成することで、悩みを抱えて困っている方々をサポートする。医療機関やスポーツクラブにはできない部分をサポートして、悩みの解決に導き、本当の健康を手に入れる人を増やしたいという思いがあってのことでした。

 

「パーソナルに来る人は『筋肉をつけたい』という人もいますが、体の不調を訴えてくる人が多いんです。そういう人は体だけの問題ではなくて、メンタルに原因がある場合も多くあります。その原因は、生きがいを持っていないこと。目標がないんです。時間やお金、仕事、人間関係を全部取っ払ったうえで、やりたいことは何ですか?と聞いても、何もないという人が大半です。僕のパーソナルはコーチング50分、トレーニング10分みたいなこともあります(笑)。それくらいマインドを変えて、目標を持つことが大事なんです。そうやって丁寧に寄り添っていけば、誰でも変わることができます。

世の中は便利になればなるほど、便利なものに頼れば頼るほど、不健康な人が増える傾向があります。しっかりケアをして元気な人をたくさんつくっていきたいのですが、自分ひとりでは限界があるので、それをできるトレーナーを増やしていきたい。トレーナーは不調に悩む人たちを変えていける力を持っています。パーソナルトレーナーはみんな勉強するのが好きですし、ある意味なんでもできるんです。せっかくそういうテクニックを持っていても、お客様が来なかったら良くしてあげることができない。だから自分がやってきたノウハウを伝えて、トレーナーたちが集客できるようになってほしいと思っています」

 

パーソナルトレーナーになって15年。月193セッション受け持ったこともあり、今ではキャンセル待ちも出るほどの人気トレーナーとなった安沢さんは「やりがいがあります」とキッパリ。

 

「指導する一人ひとりの人に、与えられた人生をこなすのではなくて、自分で人生を選べるようになってほしい。幸せの価値観を良い方向に導いていくような、人生を変えるコーチングをしていきたいと考えています」

 

一人のトレーナーとして、また、トレーナーを育てるコンサルタントとして、日本の元気に尽力していく。それが安沢さんのこれからの目標です。

 

 

というわけで今回はここまで。次回は実際に安沢さんのトレーニングの様子をお届けします。本来は女性専門パーソナルですが、特別バージョンとしてやってもらいました。

 

 

取材協力=MGTOKYO品川

東京都港区高輪3-23-14シャトー高輪202

 

【トレーナーPROFILE】
安沢明也(あんざわ・あきや)
1981年生まれ。高校卒業後、アニマル浜口ジムで鍛えて2002年に新日本プロレスに入門。03年9月にプロレスラーとしてデビュー。05年、IWGPジュニアタッグ王座に挑戦するなど、気迫溢れるファイトで人気を集めたが06年1月に25歳の若さで引退。07年よりパーソナルトレーナーとなり、NSCA-CPTの資格を独学で取得。10年、女性専門パーソナルトレーニングジムの店長兼マネジャーとして勤務。16年より女性専門パーソナルトレーナーとして活動を開始し、18年よりパーソナルトレーナー、セラピスト、整体向けのコンサルティングを行なっている。

 

【店舗情報】
■パーソナルトレーニングHP
■オンライン・パーソナルトレーニングHP
■PTブランディング経営コンサルティングHP

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。