「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」「ソイプロテイン」の違いをわかりやすく解説




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。今回は、プロテインの原材料について。
※本記事は、2020年に公開した記事を再編集して紹介するものとなります。

■筋肉強化を目指す人にはホエイが人気

ホエイプロテインとカゼインプロテインは、どちらも乳由来です。牛乳の20%がホエイで残りの80%がカゼインという比率になります。

もともと、カゼインは凝固するタンパク質のため、チーズやバターといった乳製品の原料になり、非常に重要な食材原料でした。もちろんそれは今も変わりません。ただ、残りの20%のホエイが、20年ほど前から急激に注目度を上げてきたのです。

それは、水溶性であるため吸収スピードが速いという点。さらにはタンパク質を構成しているアミノ酸組成が、カゼインなどに比べて優れている点。とくにBCAAなどの構成比率が圧倒的に高くなっています。そういった理由から、とくにアスリートや筋肉強化を目指している人には、大変人気の高いプロテインと言えます。

一方、カゼインは固まりやすいために吸収スピードが遅いわけですが、その特徴を逆手にとって長時間にわたって血中アミノ酸濃度を維持できるという点をウリにしています。時間にしてホエイが約2時間、カゼインは6~8時間と言われていますから、カゼインの場合はほぼ普通の食材と変わらないスピードと言えます。

ソイは原料が大豆なので、植物由来という点で大きく違います。以前はアミノ酸スコアが100に達していないとされていましたが、改定の後はアミノ酸スコアも100へと改定されましたから、基本的なタンパク質の栄養価としては問題ありません。

アミノ酸組成はホエイなどの動物性タンパクに比べると多少劣る点がありますが、その一方で吸収スピードは遅く腹持ちがいいという点から、ダイエット向きのプロテインとしても愛用者が多いです。

また、食後熱産生という摂取後の消化・吸収・代謝に関わって産生される熱が高く、その点でもダイエット向きと言われています。

さらにβコングリシニンなど大豆特有の成分があり、遊離脂肪酸を減らす効果など、健康志向の高い人向けのプロテインと言えるかもしれません。ちなみに、吸収のスピードはホエイとカゼインの中間といったところです。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。