2022年9月11日(日)東京スカイツリーにて、「2022YOKOMORI VERTICALRUNNING JAPAN CIRCUIT(以下、YOKOMORI VJC)」の東京大会が開催された。
YOKOMORI VJCとは、東京・名古屋・大阪のランドマークタワーを舞台に、選抜された選手たちがレースを展開するイベントだ。本イベントでは各選手が獲得した合計ポイントによって、年間チャンピオンが決定される。今大会はそんなYOKOMORI VJCの第2戦目であり、「全日本バーティカルランニング選手権大会(以下、全日本選手権)」も併催される一大イベントとなった。
本大会の会場は、日本が世界に誇る東京スカイツリー。規格外の長距離レースで女子の頂点になったのが、昨年に出産を経験したという立石ゆう子選手だ。立石選手は以前、今大会の男子部門で優勝をはたした渡辺良治選手と世界戦に挑戦。現在は世界3位と、日本バーティカルランニング界を代表する存在となっている。ここでは、そんな立石選手の優勝インタビューをお届けする。
出産、ケガを経ての優勝。湧きあがった周囲への感謝
――優勝おめでとうございます。今の率直な感想をお願いします。
「すごくうれしいです。1ヶ月前くらい前に、もう少しで下半身不随になるくらいのケガをしてしまって……。復帰から2週間くらいで本番への調整をしたので、かなりきついところがありました。ただ、日本のバーティカルランニング界を引っ張ってきた自負もあったので、最後まで希望を捨てずに取り組むことができました」
――それは大変でしたね……。練習中のケガだったのでしょうか。
「はい。階段を登っている最中に足元が滑って、背中から落ちてしまったんです。あと数ミリずれたら危なかったですね。そこからはなかなか腰も曲がらなくて、階段を登れるような状態ではなかったんですけど、治療に通ったり、職場のみなさんに仕事を代わっていただいたり、家族に家事をサポートしてもらったり。本当にいろいろな人にサポートしてもらって、たどり着けた優勝でした」
――今年4月に行なわれた記者会見で、昨年出産を経験されたと伺いました。それから、感じた変化はありましたか。
「出産前は仕事と競技が生活の中心だったんですけど、子どもが産まれてからはそこに子育てが入ってきました。3つのことをやるのは大きな変化だったので、日々の生活リズムをつくるのが大変でしたね。ただ大変な反面、子育てを通して視野も広がりましたし、子どもの笑顔や成長が競技に臨む上での励みにもなっていきました」
――忙しい人や家庭がある人にも、夢を持つ大切さを伝えていきたいとおっしゃっていましたね。
「はい。私の活動を通して、忙しくても夢を持つことはできると伝えたいですし、競技の普及面でも力になれればと思っています。それが出産後も競技を続けようと思ったきっかけだったので、これからもその思いで活動したいと思います」
――ちなみに、立石さんの夢とは?
「世界大会で優勝することと、バーティカルランニングの競技人口増加に貢献することです。あとは私の姿を見た子供に、『スポーツっていいな』とか、『がんばるっていいな』と思ってもらうことが、目標であり夢でもあります」
――バーティカルランニングの魅力を教えてください。
「誰にでも可能性があり、短いトレーニング時間でも行なえる点だと思います。階段は近くにあるものなので、手軽に取り組めるスポーツなのも大きな魅力です」
――次のレースへの意気込みをお願いします。
「今年の最終戦である大阪大会で優勝して、3戦優勝の完全優勝を達成することです。そして、総合1位を獲れるようにがんばります」
取材・文/森本雄大
写真提供/「2022 YOKOMORI VJC」PR事務局