アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、「Super Body Contest」(SBC)の日本大会で女子SBC部門総合優勝などの実績を持つ時任美帆さん。パーソナルトレーナーとしても活動する彼女の、トレーニングライフに迫った。
人生にあきらめや挫折はつきもの。時任さんもそんな例に漏れず、「中学生の時は器械体操部を3か月で退部。それがずっと心に引っかかっていて、運動を克服したいと思って大人になってからジムに入ったけど、辛くて5分で帰ったこともありました。結局、これまでジムは4回、ヨガも2回入ってやめています」と、何かに取り組んでもとにかく長続きしないことの繰り返しだった。
ところが、「あきらめて、そこから立ち去ってしまえばすべてが楽になる……」とはならないのが彼女の強いところ。一度はあきらめても逃げずにふたたびやることを繰り返すうちに、「結局はやったほうが気持ちは楽になる」と考え方が変わっていき、新たな試みとしてパーソナルトレーニングジムに入会。ここが一つの転機になり、今の時任さんが生まれるきっかけになった。
「パーソナルトレーニングを始めたら、ここを鍛えていて、こういう筋肉に効果があって、こういうふうに強くなっていくというのが理解できたんです。そうしてトレーニングを続けていく中で、SBCヘッドコーチ兼ディレクターの木下智愛先生や代表の村松良一さんのインスタグラムを見て、コンテストに出てみたいと思うようになりました。トレーナーの皆さんがそれを応援してくださったので、後に引けないという感じでしたね。トレーニングは毎回きつかったけど、皆さんが応援してくれたので乗り越えられました」
何度挫折を繰り返しても決してあきらめず、ついにコンテストの舞台に立つと、2018年のベストボディジャパン日本大会でトップ10に入るなど、いきなり成績を残した。後にSBC東京大会で女子SBC部門ELEGANTクラス(30~39歳)優勝、そして日本大会となる「SBC FINAL」では女子SBC部門でChampion of the show(総合優勝)に輝くことになる時任さんに、そこである思いが芽生える。
「私は何回も挫折したけど、あきらめなかったらコンテストで良い成績が残せました。その経験を伝えたいと思ってトレーナーを目指しました。運動ほぼ未経験というところから始めたので、運動が苦手なお客様に寄り添えるかなと思っています」
自分の経験を生かして、運動の楽しさを伝えるトレーナーとなった時任さんは、「お客様のポテンシャルをもっと引き出す」ことを心がけて指導を実施。自らも「元気なままで歳を重ねたい」と言うように、トレーニングを通して健康な体づくりをサポートすることが、今では彼女のライフワークになっているのだ。もはや「運動は必要不可欠」な存在となった彼女には、トレーナーとしても大きな目標がある。
「トレーニング初心者の方は、最初は何をやったら良いかとか、わからないことが多いと思います。まさに私がそうであったように、そういう方をサポートして、もっと多くの方がその人に合った大会に出られるようになったら良いなと思います」
選手としてはもちろん、トレーナーとしてもフィットネスを盛り上げていきたいという時任さんは、今日も同じ経験をしている人の人生をより楽しいものに変えていく。
取材・文/シュー・ハヤシ
写真/中野皓太・森本雄大