佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.13 宇多村大介 前編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのはヘビー級プロレスラー顔負けの堂々たる体格を誇る宇多村大介トレーナーです。今でこそバルク十分の肉体を誇る宇多村さんですが、元々は「棒のようにガリガリだった」という細さでした。宇多村さんはいかにして現在のような肉体を手に入れ、そしてトレーナーの道を志すことになったのか? その人物像に迫ります。

188㎝、122㎏(MAX時)。宇多村大介トレーナーは、スーパーヘビー級のプロレスラーと見間違えてしまうほどの堂々たる体格を誇ります。宇多村家は遺伝的に大柄家系で、父親は80歳を迎えてなお182㎝、80㎏、ラグビー部だった兄は184㎝、90㎏超(現役時)と、体格に恵まれています。宇多村さん自身も父、兄のように身長こそ188㎝と高かったものの、学生時代は卓球部に所属し、体重は60㎏台と細身の体でした。

宇多村トレーナーの肉体の変化の歴史(写真提供:宇多村大介)

 

「父と兄が二人ともすごく強いんです。自分は体が細いし、弱いし、潜在的に強くなりたいという意識があったと思います。高校3年生の頃にK-1が始まって、佐竹雅昭さんたちが出てきて、格闘技をやってみたいと思うようになりました。そして、いろいろ探していく中でたどり着いたのが極真空手でした」

 

強くなりたい!と一念発起した宇多村さんは、極真空手の道場に入門。そこはなんと、第5回世界大会準優勝者で、百人組手も完遂した増田章氏が指導する道場であり、猛者たちが集まっていました。ガリガリ体型だった宇多村さんが極真の猛者たちに敵うわけがなく、素手、素足の直接打撃を受けるとすぐに体が悲鳴を上げてしまいました。

 

「増田先生をはじめ、皆さんすごい体をしているんです。あるとき、増田先生から『ウエイトはやっているのか?』と唐突に言われまして、やっていないことを伝えると、『すぐに始めたほうがいい』と勧められて、二十歳からウエイトトレーニングを始めました」

 

フルコンタクト空手では相手の攻撃を受けても耐えられる頑丈な肉体が不可欠。宇多村さんは、筋肉の鎧をつくるべく、筋トレを開始します。当時は学生で金銭的な事情もあり、「自転車で通える距離で学生料金のあるジム」という条件で探していると、一つだけ条件に合うジムを発見しました。それが中野ヘルスクラブで、伝説のボディビルダー小沼敏雄さんがインストラクターとして働いていたのです。

 

「当時は小沼さんがインストラクターとして働いていて、ゴールドジムのカリスマ店長だった村上洋之さんもアルバイトスタッフとして働いていました。小沼さんたちに最初にメニューをつくってもらってウエイトを教えてもらったのですが、それは最初だけであとはほったらかしでした(笑)。それでも筋トレの効果は顕著で3ヵ月でいきなり体重が10㎏も増えたんです。筋肉がついてくると、空手の稽古でも攻撃に耐えられるようになって、筋トレの成果を実感できました」

 

トレーニングと空手を並行して行なっているうちに、どんどん肉体が強化されていった宇多村さんは、同時に将来的にトレーニング指導を仕事にしたいと考えるようになります。そして1998年からゴールジムで働き始め、指導者としてのスタートを切りました。2000年からは東京YMCA東陽町ウエルネスセンターに職場を移し、トレーニング指導を継続。2004年にNSCA認定パーソナルトレーナーの資格を取得すると、2006年よりパーソナルトレーナーとしての活動を開始します。このときは空手の指導員でありつつ、YMCAでも非常勤の専任講師を務めていたため、三足の草鞋をはいて奮闘する日々でした。

 

「自分はすごく低いレベルのところからスタートしていて、それでも体が変わる、力が強くなるということを経験してきました。先週できなかったことが今週できるようになる、そういう成功体験があったので、“これは面白いな”と思っていて、それをたくさんの人に伝えていきたいと思ってトレーナーを目指しました。トレーナーとして大事にしているのは、やっている方と目線を合わせるということです。空手にたとえるなら、白帯の人には白帯の目線で話さないとわかりません。青帯なら青帯、黄帯なら黄帯、茶帯なら茶帯の目線があって、黒帯だったら多くを語らなくてもわかるというように、それぞれに合った伝え方があるということを大事にしています」

 

宇多村さんはYMCA社会体育・保育専門学校では、運動生理学や解剖学、栄養学も含めたトレーニング指導者の総論、パーソナルトレーナーとしての基礎、実技の部分も学生たちに教えています。また、強くなりたい、体を大きくしたいという、格闘家やプロのアスリートの指導にも多く携わり成果を上げてきました。トレーナーとして多くの方に接してきた中で、心身ともに弱っていた方を良い方向に導けたときに大きな喜びを感じたと言います。

 

「原因がわからないけど体調が悪いという方がいて、栄養療法で症状を改善できたことがあったんです。医師ではないのでできることは限られてしまうのですが、僕の考えとしては薬に頼らずに健康になってほしい。だからトレーニングはもちろん、栄養面やメンタルの面でもお客様をケアして、病的なものをうまく改善に導けたときは、本当に良かったなと思います。花が一本しおれると周りの花もしおれてしまうように、元気がない人がいると周りにも伝染してしまいます。だからトレーニングを通じて、少しでも元気な人が増えてくれたら嬉しいですね」

 

学生からOLや主婦、高齢者の方まで、幅広くパーソナル指導を続けてきた宇多村さん。豊富な経験や知識を持つため、どんな要望にも応えることができます。その中でも一番得意なのは、自身が身をもって体験してきた筋肥大トレーニング。約50㎏のバルクアップに成功してきた経験から、この分野には絶対の自信を持っています。

 

「体を大きくしたいのであれば、負荷を最大限にして力をつけること。フォームの安定は大事なので最初にまずは覚える。フォームを覚えたら極大負荷をかけていくと、リミッターは外れると思っています。そうして力がついて筋力が増えれば、体は大きくなっていきます。自分自身、今が一番強いですよ(笑)」

 

パーソナルトレーナーとしての指導と学生への授業を並行して行ないながら、自身の強化も続けていくのは、もっともっと身も心も大きな人物になっていくため。“気は優しくて力持ち”を地で行く宇多村さんは、これからも自分が元気を発信することで、周りにも元気を与え続けていきます。

 

というわけで、次回は宇多村さんが得意としている筋肥大トレーニングの様子をお届けします。

 

 

【トレーナーPROFILE】
宇多村大介(うたむら・だいすけ)
1974年12月18日生まれ。二十歳のときからトレーニングを開始し、1998年にアルバイトスタッフとしてゴールジムに入社。2000年より東京YMCA東陽町ウエルネスセンター(当時)に仕事場を変え、併設されている東京YMCA社会体育・保育専門学校の授業も担当するようになる。NSCA認定パーソナルトレーナーの資格を取得し、2006年からはパーソナルトレーナーとしての活動をスタートさせた。学生やOL、高齢者から格闘家やプロスポーツ選手まで、幅広く個人指導に携わってきた。

 

【パーソナル情報】
東京YMCA社会体育・保育専門学校内学生専用トレーニングルーム(プライベートスペース)
〔住所〕東京都江東区東陽2-2-20
〔料金〕
お試し=5,000円
1回60分=10,000円(都度払い)
5回分(先払い)=45,000円
10回分(先払い)=80,000円
※パーソナルの連絡は学校ではなく本人へお問い合わせください。
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佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。