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コロナ禍、スランプ……。すべてを乗り越え夢のコートへ。「この瞬間のために、今までの人生を捧げてきたんだなって」【NFLチアリーダー・猿田彩#4】




まぶしい笑顔とエナジー満点のパフォーマンスで観客を魅了する、チアリーダー・猿田彩さん。そんな猿田さんが所属するのは、アメリカ最高峰のアメフトリーグであるNFLだ。ここでは倍率10倍を超えるオーディションを突破し、夢を掴んだ猿田さんの歩みを振り返ってきた。最終回ではNFLオーディション後の日々と、今後の目標について聞いた。

不調の中で考えた、チアリーダーとして大切なこと

オーディションで合格するためには、今無理するべきではない。毎日行なっていたトレーニングを少しづつ減らし、自分の心の声を聞くようになった猿田さん。「踊りたい時に踊る」という原点を思い出し、踊る楽しさを再認識していった。試行錯誤の中で原動力になったのは、あこがれ続けたチアリーダーの本質だった。

「チアリーダーになって、人を応援できるような存在になりたかった。今は苦しいけど、私の挑戦を見た人が『私もがんばろう』と思ってくれたら、それは間接的に人を応援することにもつながると思ったんです。その思いが支えになって、挑戦を続けることができました」

精神状態を整える大切さを知った猿田さんは、見事にスランプを克服。再開された最終オーディションを突破すると、見事にシンシナティ・ベンガルズでのチアリーダーの座を勝ち取った。

自分を整えることは、今も大切にしていることのひとつだ

「オーディションに合格した時は、『やっと自分の思いに現実が追いついた』という感覚でした。ついにここまで来られたと思いましたし、同時にここからがスタートだなと。これからどんな景色が見えて、何を吸収できるのかワクワクしましたね」

ここはまだ夢の途中。猿田さんの心は新たな希望に満ちていた。

ついに掴んだアメリカンドリーム。初試合で感じた感動

「ナイトゲームの高揚感に、聞いたことのない大歓声。その中で選手を、お客さんを応援できた時は感無量でした。私はこの瞬間のために、今までの人生を捧げてきたんだなって」

猿田さんが歩んできた道は、決して平坦なものではなかった。相当な努力も積んできた。そんな日々と天秤にかけてもお釣りがくるほどに、NFLで応援する喜びは大きく、すばらしいものだった。追いかけ続けた夢を、猿田さんは最高の形で叶えてみせたのだ。

動員数70,000人を超える、スーパーボウル試合会場での記念撮影。右から4番目が猿田さん

だが本人が話すように、ここはまだ夢の途中。チアリーダーとしての歩みは止まらない。

「これからは自分の経験をもとに、夢に挑む人を支えていきたいです。とくに海外に夢がある人とっては、私の経験が助けになることも多いと思うんです。その上でチアリーダーとして、少しでも長く現役を続けられるようにがんばっていきたいです」

チアリーダーとはその言葉通り、見る人を応援し、導く存在だ。彼女の溢れるエネルギーは、これからも多くの人に勇気を与えていくことだろう。アメリカンドリームのその先へ、猿田さんの挑戦は続いていく。

取材・文/森本雄大
写真提供/猿田彩