インナーマッスルの代表格とも言えるのが腰椎、骨盤、大腿骨に付着する筋群の総称である腸腰筋でしょう。
大腰筋、腸骨筋、小腰筋で構成されますが、大腰筋からの分束である小腰筋は50%以下の人にしか存在しない特殊な筋肉です。股関節の屈曲に作用するとはいえ、補助的な働きにとどまり貢献度は大きくありません。
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【大腰筋、腸骨筋】
大腰筋は股関節を屈曲させる最も強力な筋肉で、腸骨筋とともに歩行や姿勢の維持に重要な役割をはたします。腰痛予防の観点からも、積極的にアプローチしたい筋肉です。
<大腰筋・腸骨筋>
・ニートゥチェスト
後ろに手をついてバランスを取り、膝を伸ばした状態からスタート。背中を丸めると腹直筋に刺激が分散するため、必ず胸を張り背筋を伸ばした状態で行ないます。膝を曲げると同時に、股関節を大きく屈曲します。
<大腰筋・腸骨筋>
・ハンギング・ニーレイズ
反動をつけず、背中や腰も曲げずに行ないます。背中を丸めて足を挙げると、腹筋を鍛える別のメニューになってしまうので注意が必要です。あくまでも股関節だけを曲げるイメージで行ないます。負荷を強くしたい場合は、足にダンベルを一つ挟むといいでしょう。
<腸腰筋、腹筋>
・フロアプッシュリフト
狙う部位は腸腰筋と腹筋。体操競技の脚前挙とも呼ばれる動作で、体幹部から股関節のつけ根、地面を押すことによって広背筋にまで刺激を入れることができます。
【骨盤底筋郡】
骨盤の底を覆うように走行する筋肉で、衰えると腹圧性尿失禁、尿漏れなどの症状を引き起こします。腰痛、膝痛の改善にもつながると言われるだけに、腸腰筋とともに意識したいインナーマッスルの筋群の一つです。
<骨盤底筋郡>
・ワイドスタンス・スクワット
骨盤底筋群そのものというよりも、内転筋群(大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋・恥骨筋)と同時に刺激を入れるというイメージです。足を開いた状態で行なうと、内転筋群を効率的に鍛えることができます。上体は固定し、前傾しないように注意。大腿が地面と水平になるくらいまで、しゃがみ込みます。その際にお尻をギュッと締めると、骨盤底筋群にも刺激が入ります。
監修:岡田隆(日本体育大学教授/博士)、八角卓克(株式会社LIFE BUILDINGフィットネス総合研究所上席研究員)
実技モデル:三嶋教夫、柿夏芽、水沢充裕
撮影協力:スタジオバズーカ