アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、ネイリスト・アイリストとして活躍しながら、今年8月に静岡で行なわれたSBBF(静岡県ボディビルフィットネス連盟)×SBC(Super Body Contest)のSBC Tight部門でクラス優勝に輝いた渡辺彩理さん。そんな彼女のトレーニングライフの大きなキーワードは『人との出会い』だ。
コンテスト出場を続ける傍ら、ネイリスト・アイリストとして女性の美容をサポートする渡辺さん。彼女がトレーニングを継続し、大会に出場し続けられているのはさまざまな人との出会いがあったからだという。そんな彼女のトレーニングライフの始まりは、意外なギャップから生まれる悩みからだった。
「20歳になった頃に、当時通っていた専門学校の同級生と毎日のようにお酒を飲むようになって、しかも、飲む上に結構食べる方で、ネジが外れるとたくさん食べれてしまうんです。すると、体型がどんどん崩れてしまって『これではいかんと』とりあえずジムに入会したのがきっかけです。今でも結構食べる方なのですが、トレーニングのおかげで体型維持できています(笑)」
爆食いから崩れてしまった体型を改善したい一心で、ジムに入会した渡辺さんは、トレーニングにどんどんのめり込むようになった。そして、あるトレーナーとの出会いでコンテストに出場するようになった。
「トレーニングをはじめてしばらくの頃に出会って、よくトレーニングの面倒をみてくれるようになったトレーナーさんに『今度こういう大会があるんだけど出てみない?』軽く誘われたのがきっかけです。それでSBC初年度から継続的に大会出場するようになりました」
そのトレーナーこそが、渡辺さんと同じくSuper Body Contest初年度から出場を続け、今年8月のSBC TOKYO 07のDENIM部門 でオーバーオールを果たした阿部一樹さん。彼との出会いで一歩踏み出す勇気を持てたという。
「最初はフィットネス界隈って『怖い』というイメージで、踏み込む勇気がなかなか持てなかったのですが、トレーニングを丁寧に教えていただいたり、初めて出た大会の時も、写真を撮ってもらって細かく説明してくれたり、今の道を作ってくれた恩師でもあり、お兄ちゃん、親友の様な存在です(笑)。私一人だったらきっとここにはいないと思います」
大きな出会いをきっかけに、さらにトレーニングライフを楽しむようになった渡辺さん。多忙なアイリスト、ネイリストとしての活動の中でも継続してトレーニングができているのは、過去の自分と今の自分の両方知っているからだという。
「出勤前の朝は必ずジムで有酸素運動をするのが日課で、出勤後の夜は自分の体と相談しながら筋トレするようにしています。また、ネイルの施術中は特に無理な体勢で2時間キープしたりするので、体がむくんだり、凝ったりするので、体をほぐすために休憩時間の1時間でジムに行って、ストレッチだけしたりしています。毎日続けられているのも、太っていた昔の自分とそうではない今の自分の両方を知っているからなんです。どんどん絞れていって、成長していく自分の過程を見るのが楽しいし、モチベーションに繋がりますね」
先述したトレーナーの阿部さんとの出会いだけでなく、仕事や大会を通して、また新たな出会いにも恵まれていると振り返る。
「ネイルやマツエクの施術をしに来るお客さんはジムに通っていたり、パーソナルトレーニングをしている人がほとんど。美容や健康に気を遣っている人が多くて、そういうお客さんとトレーニングについて話すと話が弾んじゃって、それがきっかけで大会に一緒に出場する仲間ができたり、逆に大会出場して知り合った人がお客さんとして来てくれたりすることが増えました。大会用のネイルやまつエクを担当することも増えて、自分が施術した方がステージ上で輝いているのをみると感慨深くなりますし、大会が終わった後に『ネイルしてくれてありがとうね!』って投稿してくれるとグッと来たりします。今後も自分のできる範囲で精一杯支えていきたいです」
一期一会を大切にし、持ち前の明るさでトレーニング仲間の輪を広げる渡辺さん。今後も一選手として大会に出場していくだけでなく、ネイリスト・アイリストとして、コンテストに出る楽しさをより多くの人に伝えていくに違いないだろう。
写真提供/渡辺彩理
取材・文/中野皓太