トクホの飲料を飲むと痩せる?【桑原弘樹のサプリ道】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。今回は、トクホ飲料のダイエット効果について。
※この記事は、2020年に投稿した内容を再編集してお届けするものとなります。

■一定の効果の裏付けは証明されている

トクホは効果効能を謳えない食品でありながら、特例的に効果を謳うことを国(消費者庁)が認めたものです。もちろんやみくもに認可を受けているのではなく、かなり厳しい審査を通過しなくては認可されません。

単に動物実験などだけでは難しく、相当数のヒトでの試験やかなりの期間にわたっての試験が求められるケースがほとんどです。そのためもあってか、資金力のある大手企業しかトクホを有していないのが実情です。

規制緩和の一環で、これらトクホ以外にも効果効能を謳えるようにしたのが機能性表示精度で、2015年4月1日からスタートしています。いずれにしてもトクホはしっかりとした裏付けがなくては認可されませんから、その謳い文句に関してはそれなりの信憑性があると言ってもいいでしょう。

ただし、トクホの飲料を飲んで痩せると謳っている製品はないのではないでしょうか。脂肪の吸収を抑えるとか、糖の吸収をおだやかにするという表現はあっても、これを飲めば痩せるとは謳っていないはずです。つまり、飲むだけで痩せるという効果は出せていないということです。

また、脂肪の吸収を抑えるとは言っても、吸収をシャットアウトするとか吸収させないとは言っていないはずです。当然、脂肪なり糖質なりの摂取量が多ければ、いくらトクホの飲料を飲んでも摂取される量は増えていきますから、それなりに太る可能性も出てきます。

前回のダイエットに効果があるサプリメントの中で触れた吸収阻害の素材も同様ですが、それを摂取しているから食べても安心とか、食べる内容を気にしなくてもいいという発想になってしまうと、それはモラルハザードでかえって脂肪がついたりなどのマイナスの効果が出てしまう可能性がありますので気をつけてください。

話を戻しますと、痩せるとまでは言えませんが、パッケージなどに表現されているある一定の効果の裏付けはきちんと証明されているのがトクホの商品です。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。