アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、今年8月の「Super Body Contest大阪大会」でSBC部門の総合優勝に輝いた横山帆希さん。そんな彼女の職業は薬剤師であり、職場とステージの自分はまったく別人なのだという。公私でメリハリをつけ、人生を楽しむ彼女のトレーニングライフに迫った。
薬剤師としての仕事に励む横山さんは、休日になるとステージを舞うコンテスト選手に変身する。「同僚からは『ギャップがすごいね!』と言われます」と本人が話すように、職場での彼女は白衣姿+メガネの薬剤師モード。仕事とプライベートをきっぱりと分け、それぞれに全力投球する彼女にとって、トレーニングは欠かせないものとなっている。
「トレーニングを始めたのは10年くらい前です。大学の体育でエアロビクスをやっていたことがきっかけで、自己流で鍛え始めたのがきっかけでした。それからどんどん、トレーニングにのめりこんでいきました」
中高時代は運動習慣のなかった横山さんだが、トレーニングを始めると「体がすっきりする、ご飯がよりおいしく感じる」など喜ばしい効果があることを実感。大学卒業後もトレーニングの習慣を継続し、多忙でも週3回を目標にジム通いを続けた。そこでの出会いが、彼女のトレーニングライフに新たな風を吹き込むこととなる。
「ジムの先生がSBCに出ていて、その応援でコンテストを見に行く機会がありました。目線や筋肉の魅せ方などを研究しているのが伝わってきましたし、何より自信に満ちた選手の姿にあこがれました。そんな舞台に自分も立ちたいと思ったんです」
大会出場を目指して本格的なトレーニングを始めつつ、食事の管理にも着手。磨いた美ボディを引っ提げ、今年6月のSBC兵庫大会で念願のコンテストデビューをはたした。舞台に立つ経験がなかった横山さんは「緊張しまくりで脚も震えていました。何をやったか自分でも覚えていないです(笑)」と振り返るが、結果は初出場にしてTREND部門・CHARMクラス(女子18歳~39歳)で優勝。
続く8月の大阪大会ではSBC部門で総合優勝と大きな勲章を勝ち取った。そんな彼女は喜びを噛みしめつつも「今までは余裕がない部分も大きかったですが、次は見てくださる方々を楽しませられるようなステージを意識したいです」とさらなる向上を誓っている。
「もしトレーニングをしていなかったら、だらだら生活になってしまうと思います。生きがいと言えるくらい、トレーニングの存在は大きいですね」と横山さん。体を鍛えることはすでに、彼女の生活の一部と言っても過言ではないだろう。プライベートで大きな喜びを見つけたからこそ、仕事でもより集中して勤務に励むことができる。公私ともに充実した状態で見据えるのは、12月に控えるSBC FINALの舞台だ。
「今年の集大成なので、この1年やってきたことを全部出し切りたいです。今までで一番いいパフォーマンスができるようにがんばります」
薬剤師とコンテスト選手としての顔。“意外なギャップ”が生み出すエネルギーは、彼女の人生をより豊かにしていくだろう。
取材・文/森本雄大
写真/木村雄大