■起床時のある作業で短期的に高められる
基礎代謝アップの成功はボディメイクの成功と言ってもいいかもしれません。睡眠時代謝と合わせ、広い意味での基礎代謝で一日の約6割のカロリー消費量ですから。
残念ながら10代後半あたりにピークを迎え、徐々に落ちていくのが基礎代謝です。ただし、筋肉をつけることで基礎代謝は上がっていきますから、中長期的には筋肉をつけていくことが基礎代謝量を増やすことにもつながっていきます。筋肉はすぐにはつきませんから、中長期で取り組む覚悟が必要です。
短期的に基礎代謝を上げるためには、最も代謝が低い状態のタイミングを狙うことが重要になります。
一日の中で代謝量は変化します。最も低いのが睡眠時の代謝で、いわゆる最低限の省エネモードとなります。起床してから徐々に上がりはじめ、午後から夕方にかけてピークを迎え、その後は高止まりをして就寝とともに下がります。この一連の流れの中で、起床時を狙うと効果的なのです。
具体的に何をするかと言うと、起きたらまず水や白湯を飲むようにします。胃腸を目覚めさせてやるイメージです。
できればグルタミンも一緒に飲むとさらに効果的です。グルタミンは小腸の唯一のエネルギー源となるアミノ酸ですが、じつは胃粘膜もグルタミンで修復されるなど、胃薬にも使われているアミノ酸だからです。
そして、肩甲骨まわりを動かす簡単なストレッチをします。難しければ、両手を前後に大きく振る程度で構いません。肩甲骨まわりにある褐色脂肪細胞(脂肪を分解して熱にする脂の燃焼組織)が、代謝アップのスイッチのような役割をはたしてくれます。
朝イチの最も代謝の低いタイミングを狙うことで、その後は高いところから一日の代謝が進むようになります。1日や2日ではなんら効果は期待できませんが、このほんの数分の作業を一日のルーティンにできたら、基礎代謝が上がった状態と同じだと思います。
※この記事は2020年に投稿された記事を再編集したものです。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。