サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。今回は、サプリメントがあれば食事はいらないのか?という疑問について。※この記事は2020年に投稿した内容を、再編集してお届けするものとなります。
■すべてをサプリメントから摂取するのは困難
理屈の上では、食事で栄養を摂らなくてもいいと思えそうですが、実際はそうもいかないと思います。
例えば、ビタミン剤を飲んでいたら野菜を食べなくてもいいかと言われると、そうはなりません。なぜなら、野菜=ビタミンではないからです。
とくにビタミンB群は豚肉などに豊富であり、必ずしも野菜に含まれるとは限りません。逆に食物繊維であるとか、ポリフェノールの類は野菜に多く含まれているものであり、それらの栄養素や成分までもサプリメントで補っていくのは相当大変なことになりそうです。
タンパク質の場合も、ホエイプロテインやソイプロテインを飲んでいれば必要なタンパク質量は足りると言えそうですが、吸収スピードに大きな差がありますから、これを実現しようと思えばかなりこまめにプロテインを摂取し続ける必要が生まれてきます。
私たちが考えている以上に、一般の食材にはさまざまな栄養素や成分が複合的に含まれており、また時間をかけて吸収されていくものもありますから、それをすべてサプリメントで代替するというのは、現実的にはなかなか難しいかもしれません。何十種類のサプリメントを準備して、つねに何かを取り入れていくようなスケジュールになってしまいます。
逆に、一般の食事ですべてサプリメントの要素を補うことも難しいでしょう。
例えば、肉や魚からの摂取だけでクレアチンのサプリメントと同様の摂取を行なうことは至難の業であり、やはりそこはサプリメントを活用せざるを得ません。もし単独の栄養素をサプリメントのみで補っていこうとすると、今後は逆に食事に含まれている分を摂らないようにしないと、過剰摂取となってしまう可能性も出てきます。
このように、やはりメインは食事、それを補うのがサプリメント。そしてそれとは別に、機能性のものをサプリメントでオンしていくという考え方が自然かと思います。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。