サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。今回は、二日酔い防止に役立つと言われる飲料の効果について。※この記事は2020年に投稿された内容を、再編集してお届けするものとなります。
■アルコール過多でなければ一定の効果あり
アルコールの分解を助ける飲料として有名なのは、『ウコンの力』や『ヘパリーゼ』など。一部医薬品としても売られているくらいなので、効果の大小はさておき何らかしらの効果はあると思います。
アルコールは分解されてアセトアルデヒドになりますが、このアセトアルデヒドは毒性が強いものなので、さらに分解をして酢酸にしていかなくてはなりません。したがってアルコールだけを分解しても、二日酔い独特の症状は必ずしも解消するとは言えません。
しじみ系のサプリメントが二日酔い防止的に販売されていますが、あれはしじみに多く含まれるオルニチンというアミノ酸が主成分です。オルニチンは尿素回路という肝臓内の解毒の回路の中心成分で、アセトアルデヒドの分解に役立つため二日酔い防止という訴求になっているのでしょう。
飲むタイミングに関しては、どちらかと言えばお酒を飲む前がおすすめです。ただし、長時間の飲酒となると追いつきませんし、何よりも飲みすぎてしまってはあまり効果を感じることはできません。本来、自分で処理できる範疇のアルコール量の時に利用するくらいでちょうどいいかと思います。
効果を体感する人とあまりしないという人に分かれる気がしますが、これはどの程度のアルコール量だったかにもよるのでしょう。アルコールの分解が促進されても、アセトアルデヒドの分解が滞っていては飲みすぎや二日酔いの症状は出てしまいますから。
あとは、水分補給を積極的に行なうといいです。理想は飲んだアルコールと同じ量の水を飲むこと。少なくとも寝る前にはノドの渇きとは関係なく、水分補給をすると二日酔いには効果があります。胃の不快感を抑えるという意味では、グルタミンもおすすめです。
余談ではありますが、私も以前に二日酔い防止系のサプリメントを企画しようとしていたことがあります。オルニチンが食品扱いになったタイミングだったかと思いますが、さまざまな二日酔い防止系のサプリメントを大量に試していた時期がありました。飲んでもあまり酔っ払った気分になれず、その割には翌日の不快感が残るというあまりいい印象ではなかった記憶があります。あくまでも個人の記憶と感想ですが。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。