サッカーワールドカップでの日本代表の試合がすごく盛り上がりました。自分はまったくサッカーには詳しくないのですが、日本の試合はちょこちょこと見ていました。
今回のワールドカップを放送していたABEMAは、視聴者数が見えるので、余計にすごさを感じました。深夜の1時すぎに1000万人以上の人が見ているなんて、普通ではなかなか考えられません。国民的に盛り上がってみんなが応援していて、「すごいな」と純粋に応援する気持ちと、「いいな」という羨ましく思う気持ちもありました。
今年は格闘技界でも那須川天心選手と武尊選手の試合が東京ドームで行なわれて注目を集めました。その盛り上がった試合ですら、今回のワールドカップを見てしまうと、世間的な盛り上がりが違いますし、格闘技をもっとメジャーにしたいという思いが強くなりました。
そうしたなか、私事ではありますが、ベラトールとの契約を更新しました。柔道を辞めてMMAを始めたときから「世界で闘いたい」と言い続けてきて、ここからが本当のスタートだと思っています。現在(執筆時12月10日)はランキング2位で、タイトルマッチにたどり着きたいと思っていますし、もしもタイトルマッチを行なうときは、たくさんの人に見てもらいたいと思っています。
柔道ではトーナメントを勝ち上がって、タイトル(優勝)をかけた試合を経験したこともありますが、MMAでタイトル挑戦となれば初体験であり、どんな気持ちになるんだろう?という純粋な興味もあります。
トーナメントとワンマッチはまったく別モノだと思います。トーナメントの場合、決勝まで5試合あるとしたら、1試合目が終わったら「あと4つ」、2試合目が終わったら「あと3つ」というように、目の前の試合をクリアしていった先に決勝戦があります。もちろん、決勝の相手が誰になるかも直前までわかりません。数カ月前に試合が決まるMMAのタイトルマッチとは全然違うものと考えられるでしょう。
12月10日(現地時間)にベラトール女子フライ級のタイトルマッチが行なわれ、チャンピオンのリズ・カムーシェ選手がジュリアナ・ベラスケス選手に勝って、王座を防衛しました。このカムーシェ選手は、自分が敗れた選手でもあり、タイトルをかけた試合が実現したら絶対にリベンジしたいです。
一度負けた相手ともう一度試合をすることに対する嫌な印象は特別にありません。向かい合ったら潜在的に意識する部分が出てくるかもしれませんが、前回の試合は最初の攻防でやられてしまったため、自分の力を出し切っていません。なので、とにかく「出し切りたい」という思いが強くあります。
あの敗戦を機に鈴木隼人コーチにMMA全体の動きを教えてもらったり、ARROWS GYMの矢口代表に打撃を教えてもらったり、レベルアップを目指して練習に取り組んできました。すぐには習得できないし、時間はかかることですが、1年以上やってきて、少しずつかみ合ってきた手応えはあります。
最近、Twitterでは「今日も強くなってしまった」とツイートしてふざけていますが、これはあながち冗談ではなくて、前向きな言葉を発信するのはプラスになるかなと思っています。言葉にしたことは自分の行動にも跳ね返ってきますし、マイナスな言葉を発信しているとマイナスの方向にいってしまいます。とにかくポジティブにいきたいので、「2023年の目標はベラトールのチャンピオンになること」と言い続けて、実現できるように頑張っていきます。
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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。2021年よりアメリカ格闘技団体「ベラトール」に参戦している。所属はFIGHTER’S FLOW