アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、今年8月の「Super Body Contest東京大会」に初出場し、SBC部門3位、TREND部門4位という成績を残したアマトウジ・サンドラさん。ここでは、彼女が故郷・イタリアから日本へ訪れた経緯や、愛してやまないトレーニングへの思いについて聞いた。
日本にあこがれを抱いたのは、イタリア在住時に見たドラマの影響が大きかったと話すサンドラさん。日本語学校に通うなど努力を重ねるうちに移住への思いが強くなり、今から約9年前に日本への移住を決めた。
「初めは勉強だけにしようと思っていましたが、日本がどんどん好きになっていきました。現地で仕事を見つけて、ここでがんばっていこうと思うようになりましたね。もともと歯科衛生士と放射線技師の資格を持っていたので、日本のクリニックで働くようになりました」
そんな彼女が今年、ボディコンテストで成績を残したわけだが、何も突拍子もなく挑戦が頭に浮かんだわけではない。彼女の家族は両親ともにパーソナルトレーナーであり、とくに父はボディビルダーとしても活躍する本格派。従妹もミスコンテストに出場するなどボディメイクの経験を持っており、幼少期からトレーニングが身近にある環境で育ってきた。
「子どもの頃から体を動かすことが好きで、ずっとスポーツをやってきた人生でした。ただボディメイクに関しては、少しハードルが高いというイメージを抱いていました」
そのハードルとは、コンテストに向けての減量だった。理想とする体づくりのためには食事制限が必要なことを知っていたサンドラさんは、クラシックバレエやボクササイズなどを継続することはできても、トレーニングに関しては腰が重い状態が続いた。
とはいえ家族の姿を見ていたこともあり、トレーニングへの思いはどこか心に残っていたのだろう。燃える思いが大きくなった時、サンドラさんはふと思い立った。
「楽しめる時を楽しまないと時間は戻ってこないですし、今この瞬間を大切に過ごしたい。日本に移住した時と同じで、後悔したくないという思いが湧いてきました。もし上手くいかなくても違う方法があるのだから、まずは挑戦しようと決めました」
そこで目標をつくるべく選んだのが、Super Body Contestへの出場だ。YouTubeで見たステージの映像と、ポージングレッスンでの木下智愛ヘッドコーチの親切丁寧な指導が決め手となり、今年8月のSBC東京大会に挑戦すること決めた。
あとは体を磨き上げるのみ。一念発起してトレーニングに邁進すると、思わず喜びが見えてきた。筋トレを始める前はガリガリだったというサンドラさんだが、筋量アップと食事の改善が功を奏したか、より健康的な体を手に入れた。本人が「体ががっしりして活力が湧きましたし、寒さを感じづらくなりました」と振り返るように、よりエネルギッシュな日々の実現に一役買ってくれたのだ。
想像していた通り、本番前の減量は過酷なものとなったが、故郷の父のアドバイスもあり乗り越えることができた。挑戦を形にするという強い意志も、壁を越える原動力となったことだろう。そうした日々を経て磨き上げたボディで、初陣となるSBCのステージに上がった。
「1回目にステージに上がった時は、全身の感覚がなくなるくらい緊張しました。ですが少しずつ慣れてきて、終盤はずっと笑顔でいられるくらい楽しかったです」
全身全霊でステージを楽しんだ結果は、初出場ながらSBC部門・ELEGANTクラス3位、TREND部門・CHARMクラス4位と堂々たるもの。トレーニングやコンテストの魅力も、挑戦したからこそ知ることができたと言えるだろう。
「選手やコーチのみなさんが見守ってくれたり、大会を通じてできた人間関係も素晴らしいと思いました。イタリアの家族からの応援や、支えてくれた彼氏にも感謝したいです。挑戦して本当によかったですし、今後もさらにトレーニングをがんばっていきたいと思います」
大切なのは、かけがえのない今を全力で楽しむこと。サンドラさんのトレーニングライフは、これからも喜びに満ちたものとなるに違いない。
取材・文・写真/森本雄大