VITUP!読者の皆さん、あけましておめでとうございます。今年の抱負は言うまでもなく、ベラトールでベルトを獲ることです。というわけで、今年もよろしくお願いします。
2023年一発目となる今回のコラムでは、冬のトレーニングについて書いていきたいと思います。柔道には伝統的に「寒稽古」と呼ばれる文化があります。大学時代は寒稽古期間というものがあって、真冬の寒いなか朝5時から練習がスタートします。柔道着を着て、足は裸足ですし、畳も冷たくて、とにかく寒いんです。そのなかで朝からガッツリ練習をして、本当にしんどかった記憶しかありません。
冬といえば“山トレ”も印象的です。なぜか寒い時期になると山に行って、山にある300~400段くらいの階段をダッシュするという練習がありました。柔道部なのに陸上部か!と思うくらい走り込みをするのも伝統で、冬のラントレは夏とは違った大変さがあります。寒いので最初は着込んでいるのですが、走っていると暑くなってしまうので、その調整が難しいのが嫌でした。
大学では年越し合宿をしたときもありました。普段はクリスマスくらいの時期に解散になって、それぞれが実家に帰って年が明けてから集合というパターンです。しかし、その年は早めに解散して年末には寮に戻ってくるというスケジュールで、年をまたいでの合宿になりました。大晦日の夜10時くらいから練習がスタートして、深夜1時くらいに終わる感じです。練習中に年越しのカウントダウンがあるわけでもなく、乱取りをしていて気づいたら年が明けていて「頑張っていこー!」みたいなノリでした。
この年越し合宿は恒例ではなく、その次に4年生になる代がみんなで協議してやるかやらないかを決めることができます。自分たちの代は満場一致で「やらない」と決定。年越しに練習したからといって強くならないというのが、みんなに共通した考えでした。
年始は全日本合宿が定番でした。年始の全日本合宿はナショナルトレーニングセンター(NTC)で行なわれるのですが、10泊11日くらいの長さなんです。最初に食券がまとめて配られて、朝昼晩で30枚くらいあるので、量の多さを見ると合宿の長い日々を想像できてしまって気が重くなりました。その食券の枚数が減ってくると、合宿の終わりが近づいてきていることを実感できて、「あと少しだ」とやる気を出していた記憶があります。
現在は冬合宿のような練習はありませんが、自分なりに工夫はしています。冬はどうしても体が温まるまで時間がかかるので、軽くジョギングをしたり、動きながらストレッチをしたり、ウォーミングアップを夏よりもしっかりやります。練習に行く前にお風呂に入って、少し体を温めてからジムに行くという方法も試したこともあります。これは意外と悪くなかったです。
冬は着込んでいるぶん、洗濯物が増えるのもマイナスポイントでした。しかし、この洗濯物問題は、乾燥機の導入によって解決しました。寒いのは苦手ですが、冬の寒さに負けず、ケガのないようにトレーニングに取り組んでいきたいと思います。
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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。2021年よりアメリカ格闘技団体「ベラトール」に参戦している。所属はFIGHTER’S FLOW