WPIとWPCは何が違うの?【プロテイン入門③】




前回は、プロテインにさまざまな種類があることを紹介しました。そこで今回からは、プロテインを購入する際に気になる分類について、桑原さんに詳しく解説してもらいました。今回はWPIとWPCについて。

これはホエイプロテインの純度の違いを区別する際に使われる用語です。WPIは純度が90%前後WPCは80%前後くらいの製品が多いです。

WPIはWHEY PROTEIN ISOLATEの略であり、ISOLATEとは分離するといった意味合いです。WPCはWHEY PROTEIN CONCENTRATEの略で、CONCENTRATEとは濃縮するという意味になります。つまり、元々はWPIはイオンエクスチェンジ製法によって高純度に精製したホエイプロテインを指し、WPCは膜処理によって濃縮したプロテインを指していました。

ところが膜処理の技術の進化によって、膜処理でもイオンエクスチェンジ製法並みの純度が実現できるようになり、現在では製法の違いというよりは純度の違いを指すようになっています。

WPIは純度を高めるために価格も高めになります。また味もプレーンな味がほとんどです。逆にリーズナブルな価格のホエイプロテインや味のバリエーションが豊富なプロテインはWPCであることが多いです。ただし、これはどちらがいいプロテインかという比較ではなく、WPIであれば価格は高めでも摂取量は少なめで済みますし、WPCであればお手頃価格でホエイプロテインをたくさん飲めるというメリットがあります。

今はプロテインもいろいろな味がラインナップされていますから、味を楽しみたい人はWPCになるかもしれませんが、乳糖が苦手で牛乳などを飲むとお腹が緩くなるという人は、WPIを選べばほとんど乳糖が含まれていませんので安心して飲めるでしょう。WPIのプロテインはプレーンな味がほとんどなので味が物足りないという人は、インスタントコーヒーを少し加えてシェイクしたり、自分で味の工夫をするとより美味しく飲む事ができます。

ここ数年、さまざまな事情によってホエイの原料がかつてない勢いで高騰しています。恐らく各社共に値上げを余儀なくされているかと思います。その点においては少しでも一回当たりの単価を下げるために、WPCの大袋などの需要が高まっているかもしれません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。