別記事では、早大バーベルクラブOB・和田駿さんへのインタビューで、ボディビルのかけ声に迫りました。今回は『ボディビルのかけ声辞典』の制作にも関わった、ボディビルマニアのちびめがさんが合流。編集部が同書やテレビ放送などで気になったものを中心に、具体的なかけ声についておふたりに質問。 率直な感想や、マニアだからこそ知る知識など、さまざまな声が飛び出しました。
秀逸ワードから、ジーンとくるかけ声まで
1.眠れない夜もあっただろう!
ちびめが:これは野上駿選手に向けて発せられた言葉だと記憶しています。本当にバリバリに仕上がった状態で出てきた野上選手を見て、思わず声が出たんだと思います。
和田:ボディビルダーなら身に染みる言葉ですね。減量期は交感神経が優位になってしまったりして眠れなくなるんですよ。3時間睡眠で起きてしまったり……。だからこそ、ステージでそういった言葉をかけてもらえると、いい意味で緊張が緩むんですよ。こういった選手に寄り添うようなかけ声は素敵だと思います。
2.デカ過ぎて固定資産税がかかりそうだな!
ちびめが:これは相澤飛鳥選手が弟の隼人選手にかけた言葉だったかと。こういうの覚えちゃうんですよね。会場中から「隼人、力入れるな!」と言われていたくらいでした。そのくらい筋肉が大きかったということですね。
和田:これは僕好きです。筋肉を維持するプロテインやサプリ代など、そういうものを税金にかけたということですかね。
3.樹齢1万年!筋肉縄文杉!
和田:聞いたことはなかったですが、太くて絞られた脚を表現したものだと思います。縄文杉って太いし脈々としていますからね。言った方の意図はわからないですけど、もっとも偉大なボディビルダーの一人といわれる、アーノルド・シュワルツェネッガーさんのニックネームに、オーストリアの樫の木(オーストリアンオーク)というのがあるんですよ。「シュワルツェネッガーさんは樫だけど、あなたは杉だぞ。負けてないぞ」という意味合いだとしたら熱いですね。屋久杉の中でも縄文杉は本当にでかいですから(笑)。
ちびめが:和田君、マニアックすぎ(笑)。
4.親の大胸筋が見てみたい!
ちびめが:これは、某テレビ番組で元帝京大学の高橋明生選手に当てられたかけ声なんです。万が一、高橋選手の親御さんがボディビルダーだったとしたら、考えた人はすごいなぁ思います。学生大会は親御さんが来ていたりしますから、ガクボならではのかけ声と呼べるかもしれません。
和田:僕の後輩にも親子二代の学生ボディビルダーが結構いますから、そういう意味でも使えるかけ声ですね。
5.プロテイン飲んだシルバニアファミリーか!
和田:これはテレビでも紹介されていましたね。プロテインを飲むだけでは筋肉は大きくならない……と思ってしまうのは競技者病でしょうか(笑)。横一列に並んだ様子をよく表現していますね。
ちびめが:こういったキャッチ―なかけ声が、注目を浴びやすいですよね。ワードの面白さはもちろん、一歩踏み込んだところを知ると、ボディビルがもっと面白くなると思います!
(Part2に続く)
ちびめが
ボディビル観戦マニア。個人ブログ「☆ちびめがごっは~ん☆」が話題となり、存在が広く知られることとなった。2018年に発売された「ボディビルのかけ声辞典(スモール出版)」では、巻頭写真集構成・写真協力を担当した。
和田駿(わだ・はやお)
早大バーベルクラブOB。2013年に全日本学生ボディビル選手権で準優勝をはたし、同年のミスター早稲田にも輝いた。現在はOBとして、早大バーベルクラブの監督を務めている。
取材・文/森本雄大