プロテインを食事の代わりに摂っても問題はないですか?【プロテイン入門⑭】




トレーニング以外に、ダイエットにも使われることがあるプロテイン。中には食事の代わりとして、プロテインを摂っている方もいます。今回は、食事の代わりとして摂るプロテインについて、桑原さんに解説してもらいました。

純粋なプロテインを食事の代わりというのは、あまりおすすめの方法ではありません。

ひとつのテクニックとして減量の最終時期にプロテインを代替にしたり、簡易な食材にプロテインを加えて食事の代替にしたりするという方法はあります。ただし、プロテインはタンパク質そのものといってもいいサプリメントですから、どうしても通常は食事の代わりにはなりえないのです。やはりあくまでも栄養補助食品、つまり補助するものという位置づけですね。

プロテインと同じコーナーに陳列されることが多いミールリプレイスメントの場合は、シーンによっては食事の代わりとなりえます。ミールリプレイスメントという名称は日本語にした場合「代替食」などと訳されることが多く、MRPなどと呼ばれるまさに食事の要素を取り入れたサプリメントだからです。したがって、見た目はパウダー状であったりしてプロテインと同じように見えますが、タンパク質以外にもカーボやその他の各種栄養素が配合されているはずです。

プロテインは食事の代わりにはならないと書きましたが、プロテインを使えばこのミールリプレイスメントを簡単に作れるという側面はあります。たとえば、おにぎりやバナナといった糖質にサラダとプロテインで、バランスのとれた小さな食事の完成となります。これを食事の代わりにすればダイエットとなりますし、食間に加えて補食とすればバルクアップに役立ちます。

プロテインはタンパク質の塊であり、多くのプロテインには主要なビタミンやミネラルが配合されています。つまり、タンパク質、ビタミン、ミネラルといった比較的摂取しにくい栄養素だけを容易に摂取できるサプリメントということです。

食事にはそれ以外の多くの栄養素が含まれていますから、単にプロテインだけで食事の代わりとするのは難しいのです。

しかし、極端なケースをいえば、コンビニで売っているお菓子ですらそこにプロテインを加えることで、ちょっとしたミールリプレイスメントに近づけることができるのです。お菓子は糖質と脂質がメインの素材ですから、その質の良し悪しは別として、足りない栄養素はタンパク質と微量栄養素だからです。

プロテインは特別な機能をもったサプリメントではありませんが、ちょっとしたお菓子をミールリプレイスメントに近づけてしまう力を持っているということです。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。