VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのはプロレスや「BreakingDown」、パワーリフティングなど、幅広く活躍する“胸毛ニキ”こと八須拳太郎トレーナーです。さまざまなチャレンジを続ける源に迫りました。
八須拳太郎トレーナーは、パーソナルトレーナーでありながら、プロレス、BreakingDown、パワーリフティング、ブラジリアン柔術、ボディコンテストなど、幅広く活躍しています。“胸毛ニキ”の愛称でお馴染みの彼は、元々サッカー少年でチーム一の俊足でしたが、筋トレによって進むべき道が変わっていきました。
「サッカーは小学2年生から高校2年生まで続けていました。でも高校のときにトレーニングルームで器具を使った筋トレにハマってしまって、60㎏だった体重が80㎏まで増えました。元々はサッカー部で足が一番速かったのですが、体重が増えてビリになってしまいました(苦笑)。これではサッカーができないとなって、ラグビー部にスカウトされたくらいです」
サッカーの道を断念した八須さんは高校卒業後もトレーニングは継続します。大学は1年で退学して二十歳を過ぎた頃、プロレス団体の入門試験に合格し、憧れのプロレスラーへの第一歩を踏み出すはずでした。ところが……。
「プロレス団体に入門して間もなく、東日本大震災があったんです。まともに練習ができる状況ではなくなってしまい、練習とは関係ないところでボコボコにされることもあって、すぐに辞めてしまいました。心も体もボロボロになって、“二度とトレーニングなんかするか!”という気持ちになって一度はトレーニングから離れました」
こうして体を鍛えるという道から離れた八須さんは、運送系の仕事に就き、トラックを運転する日々を過ごします。トレーニングのない日常が普通になってきたある日、突然「トレーナーを目指そう」と思い立ち、トレーニング熱が再燃していきます。
「本当に突然、トレーナーを目指そうって思った瞬間があったんです。そこでいろいろ調べていって、ヒューマンアカデミーを見つけました。ここでトレーナーの勉強をして、NESTA-PFTやNSCA-CPTの資格を取得しました」
ヒューマンアカデミーは、SAWAKI GYM代表の澤木一貴氏がかつて講師をつとめていた学校です。プロレス好きという共通点もあり、二人に接点が生まれました。八須さんは資格取得後はSAWAKI GYMでトレーナーに……と考えていたものの、採用を見送られてしまいます。
「修行をしてこいということで、最初はSAWAKI GYMの面接で落とされているんです。そこでライザップさんで1年くらいトレーナーとしての経験を積ませてもらいました。ライザップさんは大手なので、挨拶の仕方からお客様への接し方などをしっかり教えてくれて、トレーニングを教えるだけではない部分を学べたと思います」
ライザップで経験を積んだ八須さんは、晴れてSAWAKI GYMに入社します。トレーナーのチャレンジに寛大なSAWAKI GYMのカラーが八須さんに見事にマッチし、プロレス、ボディコンテスト、パワーリフティングなど様々なジャンルに挑戦していきます。昨年から出場しているBreakingDownでは、“胸毛ニキ”として、人気を集める存在となっていきました。
大忙しの八須さんに、「何足もの草鞋を履きながら活動することは大変ではないのか?」と問うと、「トレーナー=チャレンジです」という答えが返ってきました。
「パーソナルトレーナーをやっているからこそ、いろいろなことに挑戦しているという感じです。いろいろなお客様に指導するからには、自分がしっかりしないといけないと思うんです。トレーナーをやっていなかったら、そこまで高くモチベーションを保てないと思います。トレーナーをやりながらいろいろなことをやるのが大変なのではなくて、トレーナーをやっているからこそいろいろなことにチャレンジするんです。だから“トレーナー=チャレンジ”ですよね。体が動かなくなったらトレーナー業も引退です」
パーソナルトレーニングに来るお客様にはいろいろな人がいて、さまざまなニーズがあります。それらに応えていくために、自分の引き出しを増やしたい。また、自分ががんばっている姿を見せることで、お客様のモチベーションになってほしい。そんな気持ちが八須さんの原動力となっているのです。
「トレーナーとして心掛けているのは、楽しくトレーニングをすることです。辛いことを率先してやりたい人なんていないので、まずはトレーニングの楽しさを知ってもらうように指導しています。自分もお客様と一緒にやったり、会話で盛り上げたりしています。プロレスやBreakingDownに出ていると、会話のネタにもなるのですごくいいですよ」
チャレンジの積み重ねによって知名度がうなぎ上りの八須さんの今後の目標は「彼女をつくる」こと。彼女いない歴17年に終止符を打つことが、2023年の目標だと言います。
「胸毛がコンプレックスだという人に“胸毛ニキ”で勇気を与えたように、彼女いない歴17年の僕が彼女をつくって、モテないと悩んでいる人たちに勇気を与えたいです。でも、彼女ができると、仕事に集中できなくなってしまうかもしれないですね(笑)」
何足もの草鞋を履きながら奮闘する八須さんなら、恋愛とトレーナーの両立も問題ないでしょう。ぜひとも彼女をゲットしてもらいたいと思います。
というわけで今回はここまで。次回は“胸毛ニキ”トレーニングの実践編です。
【トレーナーPROFILE】
八須拳太郎(はちす・けんたろう)
1990年11月6日、埼玉県出身。小さい頃からサッカーを始め、様々なスポーツを経験しし、20歳のときにプロレスに入団した。ヒューマンアカデミーでトレーナーとしての基礎を学び、卒業後はライザップを経て、2017年11月にSAWAKI GYMに入団。全日本パワーリフティング選手権準優勝の実績を持つ。2021年にプロレスラーとしてデビューし、2022年は「BreakingDown」で活躍。“胸毛ニキ”として人気を集めている。トレーニングDVD『“胸毛ニキ”八須拳太郎が教える最強自重トレーニング』が発売中。
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【店舗情報】
SAWAKI GYM
高田馬場店=東京都新宿区高田馬場1-25-34 小川ビル102
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■パーソナルトレーニング料金
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土日祝 9:00~18:00
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。