VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのは齊藤寛乃トレーナーです。前編では、外資系ハイブランドアパレルに勤務からパーソナルトレーナーに転身したという、異色の経歴を持つ齊藤トレーナーの歩みを紹介していきます。
「とにかくエネルギーが有り余っていて、常に動いていたい感じなんです」
こう語る齊藤寛乃トレーナーは、子どもの頃から運動好きのスポーツウーマンでした。パーソナルトレーナーとして活躍する現在も、日々のトレーニングに加えて、トレイルランニングやスパルタンレースに取り組むなど、「常に動いている」状態が続いています。
そんな齊藤さんがトレーニングにハマるきっかけとなったのは、ゴールドジムに入会したこと。勤務先の外資系ハイブランドアパレルに一番近かったジムが、たまたまゴールドジムだったことが、その後の人生を変えていくこととなります。
「当時はボクササイズをやっていたのですが、何の運動をするにも基礎的な筋力が必要だなと思って、職場の近くにあるジムに入会したら、それがゴールドジムだったんです。ゴールドジムがマッチョな人たちがいるジムだということも知らなくて、最初は場違いかなと思ったこともありました。でも、ジムで知り合った方から『どうせやるならちゃんとやったほうがいい』とアドバイスを受けて、ボディメイク、筋トレに目覚めました。ゴールドジムに通い始めてからは、大会を目指して毎日トレーニングをしていました」
ジムと職場が近かったこともあって、大会が近くなると、昼休みにはおにぎりとチキンを食べながらジムと向かい、そのまま昼休みが終わるまでトレーニングをすることもあったと言います。
「大会前になると真っ黒に日焼けします。勤務していたラグジュアリーブランドのイメージにそぐわないので、最初はみんなに『どうしたの?』って心配されていました(笑)。でも、最終的には職場のみんなも大会に応援に来てくれるようになりました」
こうしてトレーニングにドハマりしてしまった齊藤さんは、トレーナーになるべく、務めていた会社を退社し、大手フィットネスクラブでトレーナーとして働くことになりました。しかし、ここでは壁にぶつかることになります。
「最初にトレーナーとして仕事を始めたときは、自分が圧倒的に無知でした。勤務したジムにトレーナーがたくさんいるなかで、自分の無知さが身に染みました。本格的にトレーナーをやるなら、もっと時間をかけて勉強するべきでした。現場に出ながら基礎知識をつくる時間がなくて、もう1回学び直したいと思っていたときに、以前の職場から『戻ってきませんか?』というお話をいただいたんです」
再び外資系ハイブランドアパレルに戻ることになった齊藤さんは、会社勤めをしながら、トレーナースクールにも通って資格を取得し直します。それと同時に、休日はトレーナー時代から継続しているお客様のパーソナル指導をしていたため、ほとんど休みのない日々を過ごしていきました。
「勉強をし直して基礎を身につけて、会社勤めをしながら副業として以前からのお客様のパーソナルも続けていました。そのうちにお客様の紹介がすごく増えていって、仕事をしながらでは対応するのが難しくなり、これならトレーナー一本でもいけるかもしれないと思って、独立することにしました」
独立しておよそ1年、トレーナー業と並行して、アパレル時代の経験も生かして、BELINEを立ち上げ、美尻デニムを開発、販売もしています。
「せっかく鍛えているのだからキレイに見せたい、そういうデニムが欲しいと思って、最初は自分のためにつくったんです。フィットネスウェアはたくさんありますが、アパレル、ファッションとして、いかに筋肉をキレイに見せられるかを考えていきたいです。フィットネスとファッションを融合させて、世の中に発信していきたいと思っています」
精力的な活動を続ける齊藤さんのトレーナーとしてのモットーは、「自由」「健康」「ハッピー」の三本柱だと言います。
「フィットネスって本来は健康になるもので、自由で楽しくあるべきものだと思うんです。大会に出ていたときは、過度な減量や食事を楽しめなかったり、筋肉のことを考えると楽しいはずのランニングを思うようにできなかったり、健康的ではないし、自由ではないなと感じて、私は大会に出るのはやめました。もちろん、大会で優勝した瞬間は嬉しいですけど、それ以上に辛さや健康的ではないことがあり、私のモットーとは違います。トレーナーとしては、お客様の健康寿命を延ばして、皆さんにハッピーになってもらいたいというのが一番です。大事なのは、健康、自由、ハッピーです」
齊藤さんは、20代前半から60代、一般の方からスポーツをやっている方まで、幅広い層のパーソナル指導をしています。今後は機能改善、機能向上の部分に、より力を入れていきたいと考えています。
「ボディメイクに指導はもちろん、故障してしまったり、何らかの原因でうまく体が使えない人を少しでも良くしていけるように、機能改善の指導をやっていきたいです。また、スポーツ選手を相手に、スポーツがもっとうまくできるような機能向上もやっていきたい。自分自身がマルチにいろいろできるようになりたいので、スパルタンレースやトレイルランニングにもチャレンジしていきます。健康、ハッピーという方向性になってから、考え方もすごく自由になりました」
楽しみながら体も心も健康に。齊藤さんは固定観念に縛られることなく、自由な発想を持って、これからもハッピーの輪を広げていくことでしょう。
【トレーナーPROFILE】
齊藤寛乃(さいとう・ひろの)
トレーニングの魅力にハマり、外資系ハイブランドアパレルから大手フィットネスクラブに転職し、トレーナーを務める。昨年から独立してフリーのパーソナルトレーナーとして活躍しつつ、ファッションとボディメイクを可能にしたブランド「BELINE(ベリーネ)」を展開中。
〔大会実績〕
APFランウェイモデルNIGHT OF CHAMPIONS 優勝
APFランウェイモデルTOKYO OPEN 優勝
マッスルゲート浜松大会 ウーマンレギンス158㎝以下級&35歳以下 優勝
マッスルゲート東京スポルテック大会 ウーマンレギンス158㎝以下級&35歳以下 優勝
【パーソナル情報】
SSL GYM 銀座 60分11,000円
〔その他の活動場所〕
銀座、渋谷、六本木、恵比寿(女性のみご自宅出張パーソナルも可)
60分9,000円~
Instagram
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。