VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回は“ネバトレ”杉崎宏哉トレーナーの後編です。ケガ予防をしながら、胸のトレーニングを行ないました。
杉崎宏哉トレーナーは40代以上の中高年の方でも、ケガをしないトレーニングを第一に考えて指導しています。そのためにはケガをしないフォームと、しっかりしたウォーミングアップが大事。トレーニングを前に、入念にアップをしていきます。
まずはストレッチポールを使っての胸椎の伸展から。肩甲骨の下にストレッチポールを当てて、バンザイをして肩甲骨の上から下までコロコロと動かします。
続いては肩の後ろ側、棘下筋、小円筋といったローテーターカフの一部を緩めていきます。
今度は壁の前に立って肩を動かしていきます。これは寝た姿勢で行なうと重力があるぶん、より負荷をかけることができます。
パートナーとのチューブを使ったウォーミング。肩にかけた状態で回す、斜め上に向かってパンチのように動かす動作を左右ともに行ないます。パートナーがいない場合は、チューブをパワーラックに引っ掛けると、一人でもできます。
今度は腰に手を当てた姿勢でチューブに抵抗して、ヒジを前に出す、ヒジを後ろに引くという動作。おじさんになるとだいぶ体が硬くなるので、自分の肩回りの硬さに苦笑い。それでも杉崎さんは「同年代の方と比べたら柔らかいほうですよ」とフォローしてくれます。
「こうしたアップをするようになってから、ベンチプレスや胸のトレーニングで肩を痛めることは少なくなりました」(杉崎さん)
胸の種目でベンチに寝た際、腰を反り過ぎることがないように、腸腰筋も伸ばしておきます。頭の真下にヒザをつくようにして、腰を反らないように恥骨を前に出して腸腰筋の伸びを感じます。さらに両手を上げて、足のある側に体を倒します。
普段、自分でトレーニングをするときは、ここまで入念にアップをしないので、トレーニング前から体が動きやすい感覚がハッキリとわかりました。アップが終わったところでトレーニングがスタート。まずはダンベルプレスからです。
「ベンチプレスのほうが高重量は扱いやすいのですが、ダンベルのほうが肩関節の外旋など調整しやすいので、40代以上の方にはできるだけ肩にストレスをかけないようにダンベルプレスを選ぶことが多いです」と杉崎さん。
まずはフォームのチェック。脇の角度は45~60度くらい。胸骨の骨のラインにダンベルがくるように構えると肩のストレスを抑えることができるとアドバイスを受け、エアで形を修正していきます。
ケガのリスクが少ないフォームを確認してから実際にダンベルプレスを行ないます。「グリップは真横ではなくハの字くらい。全体的に握るけど、親指と人差し指は強く握りすぎると伸ばしたときに肩が内旋してストレスがかかるので注意してください」と、細かくアドバイスしてくれるので、修正しながらトライできます。
続いて2種目目はダンベルフライ。こちらも最初はフォームのチェックから。「胸の中心から下ろしていって肩はあまり動かさないイメージです」(杉崎さん)
「ストレッチ種目なのでストレッチをかけたいんですけど、無理してストレッチをかけようとすると肩を痛めやすので自然にいける範囲でOKです」というアドバスを受けて、ダンベルフライを行なっていきます。
スタートポジションで胸を緊張させて、テンションをかけたまま下ろしていきます。セットを重ねると、段々とフォームが良くなっていきました。
3種目目はペックフライ。ストレッチ種目に続いては収縮種目です。
こちらもダンベルフライ同様、肩を支点にせず、胸の中心から動かします。最後はグリップをくっつけるようにして最大収縮を狙います。かなり強烈に入りました!
というわけで今回はここまで。十分なウォーミングアップと、細かなフォームの修正をしてもらったことで、安心感がある状態でトレーニングをすることができました。杉崎さん、ありがとうございました。
【トレーナーPROFILE】
杉崎宏哉(すぎさき・ひろや)
40歳で重度の腰痛を患い、 手術を迫られたことにより、体の仕組みについての勉強を始める。結果、腰痛は手術なしで見事寛解し、同じような悩みを抱える人にトレーニングを伝えるために本格的にパーソナルトレーナーの道へ。現役フィジークマスターズ選手としても活躍中で、ゴールドジムジャパンカップ優勝、JBBF東京選手権優勝、関東選手権優勝、オールジャパン4位という成績もおさめているモットーは「Never too late(遅すぎることはない)」。
〔保有資格〕
NESTA PFT、機能解剖学スペシャリスト、スポーツ栄養スペシャリスト、ファンクショナルトレーニング、メノポーズケア認定インストラクター
【パーソナル情報】
全世界対応:オンラインでのダイエット&トレーニング指導(英語可)
対面指導:港区にて
詳細はホームページをご確認ください
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。