オタク文化と筋トレの融合。なぜ彼らは鍛えるのか?




オタクと筋トレ。一見、相反するようなカルチャーが融合しようとしている。

かつてオタクといえば、家に閉じこもっているイメージが強かった。しかし、現在のオタクたちはイベントやコスプレ、ライブなどに積極的に出かけることが多く、むしろアウトドア化が進んでいる。体を張った「推し活」をするためにも、体力や健康が必須となっているのだ。

空前の筋トレブームということもあり、忙しい趣味の合間を縫って筋肉を鍛えるオタクも増えているらしい。オタクをターゲットに絞ったジムまで誕生しているのだから、その需要は確実に高まっているのだろう。そんなジムの一つである「パーソナルトレーニングジム Clara」の代表を務めるSAKUさんは言う。

Claraの代表を務めるSAKUさん

「同人誌作家の友人が食事も忘れるほど作品に没頭して救急車で運ばれたり、ライブでペンライトを振り続けていた友人が疲労困憊になったりして、心配になりました。オタク仲間の健康をなんとかしたいと思って、ジムを設立することにしたんです」

会員からは「体力がついて元気になった」「トレーニングで生活にハリが出た」といった反応があったという。2021年に東京・池袋でスタートしたClaraは顧客をオタク女子に絞っているにもかかわらず、店舗を年々拡大。この4月には初の関西進出もはたした(大阪府心斎橋スタジオ)。今後は大阪でも発展を続けるオタク文化に新たなパワーが吹き込まれる可能性もある。「全国&海外展開を目指します!」とSAKUさんも精力的だ。

オタクの表現の場であるコスプレ界にも新風が吹きはじめている。衣装だけに頼らず、自らの筋肉でキャラクターを演じるコスプレイヤーが増えているのだ。彼らは「コスプレ映えする体をつくる日々です」「作品を汚さない筋肉をつけなければいけない」と口々に言う。近年は『ダンベル何キロ持てる?』や『筋肉島』など、筋肉をテーマにした漫画やアニメが増加。そのことも、このムーブメントに拍車をかけている。

今や日本発の文化として世界中で認知されつつあるオタク。その構成要素に「筋肉」が加わる日が近づいているのかもしれない。