筋トレをしたいけど時間がない! そう頭を抱えている人も多いのではないだろうか。1日24時間という限られた時間の中で、仕事にプライベート、筋トレをこなす――。そんな充実した日々を送る方法を紹介すべく、社会人競技者たちの時間術に迫る本企画。今回は社交ダンスオーダードレスデザイナーとして働きつつ、ボディコンテストで結果を残す橋本佳織さんに話を聞いた。
明確な目標設定と、ざっくりの筋トレスケジュール
職業によって働き方は千差万別。今回登場する橋本佳織さんは、自営業を営むオーダードレスデザイナーだ。朝の10時頃から夜20時頃を目途に、打ち合わせや生地の選定、作成から納品までを一括して行なっている。
比較的自由が利く自営業とはいえ、納期が明確なことが仕事の特徴。発注が重なると「うれしい悲鳴」ともいえる忙しさになることもあるという。
そんな中でボディコンテストに初挑戦した2022年は、マッスルゲートの地方大会2つで優勝。全国大会であるゴールドジムジャパンカップではドリームモデル163cm超級で準優勝という結果を残してみせた。
多忙な中で彼女が美ボディをつくりあげた秘訣は、“明確な目標設定”と“ざっくりの筋トレスケジュール”なのだという。
「大会に出るにあたって自分の目標を明確に決めました。私は長身で肩幅が広かったので、それを活かすというのがひとつ。あとは下半身に自信がなかったので、できれば露出が少ないドレス着用の部門に出たいと思っていました。いろいろな点を加味してドリームモデルへの出場を決めました」
ドリームモデルはビキニフィットネス女王・安井友梨さんが立ち上げた部門であり、ドレスを着用しての審査となる。お尻や下半身の大半が隠れるので、重要になるのは肩と背中、脚の一部という3点。目標が明確になることで、ポイントを絞ってのトレーニングや時短が可能になった。そしてここから大まかな筋トレスケジュールを立てていく。
「私の場合は仕事が不定期なので、午前中にトレーニングする日もあれば、仕事が終わってから夜にやる日もあります。必ず何曜日に鍛えるという決め方ができないので、大会が近い時はざっくり週に2回くらいパーソナルトレーニングの予約を入れます。まず予約を入れて、自分でもあと2日は鍛えようかなという感じですね」
ガチガチに予定を決めると、遂行できなかった時にストレスが発生する。忙しくてトレーニングができない日は、夜遅くにウォーキングだけ、ジムでポージング練習だけといった形で努力を積み上げた。そんな“ざっくり”スケジュールでも体が変わる理由は、目標に対してのマイルストーンを設定しているからだ。
「大会の日程が明確に決まっていたので『いつまでに何kg落とす』といったように、具体的な数値目標を決めていました。そこに向けて食事やトレーニングを調整していくんです。トレーニングに関しては自分で追い込みきれないので、トレーナーさんに追い込みのメニューを設定してもらっています。自分で管理できるところ、できないところを明確にして、時には人の手を借りる。そうすることで効率的にトレーニングを続けることができました」
体を完璧に鍛えようと思うとある意味際限がない。彼女の方法を一般向けに置き換えると「水着が似合う体」になりたいのか「服が似合うおしゃれマッチョ」になりたいのか。そういった目標設定ひとつでトレーニング効率が一変するといえるだろう。
メリハリのある筋トレ時間術で、初心者の方もぜひ理想のボディを目指してみてほしい。
取材・文/森本雄大
写真/木村雄大
写真提供/橋本佳織