不屈の古希トレーニー・坂部吉昭。「今の自分が人生で一番若い」【My Training Life】




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60歳からトレーニングスタート

「ジジイたちはみんな、『今から体づくりをしたところで……』なんて言うでしょ。でも私からすれば、『いやいや、今からでしょ』って。自分がもっとも若かった時期がいつなのかと聞かれたら、『今だ』って自信を持って言えますよ」

そう話すのは、今年、古希を迎える坂部吉昭さん。35年以上にわたりモデル業を職にしながら、千葉の田舎町で筋トレとサーフィンを謳歌している。4月にSuper Body Contest(SBC)千葉大会に出場するなど、高齢者とは思えぬボディを誇るベテラントレーニーだが、鍛えはじめたのは意外にも比較的最近のことだと言う。

「学生時代はスポーツをやっていたし波乗りもずっとしてきたので、自分の体には自信があったんです。ところが、あるときに鏡を見たら胸の筋肉が垂れてて、『やばい、かっこ悪い……』と。これはまずいと、まずは家庭用の懸垂バーを買ってやってみたんですよ。それが、60歳になった頃でした」

ところが、いざ筋トレをやってみると懸垂はまさかの1回も上がらず、腕立て伏せも数回で力尽きてしまう惨状。これまで見えていなかった現実を目の当たりにしたのだが、ここから不屈の闘志を見せるのが坂部さんだ。最初は負荷の少ない方法からスタートし、数回ずつのトレーニングをコツコツと日々重ねることでパワーアップ。数週間をかけて、みるみると体を変えていった。

「2週間ぐらいで懸垂は3回できるようになったのかな。『おお、やればできるじゃん!』って(笑)。そうしたらもう面白くてたまらなくって、ポッコリお腹も解消していった。確か体重も78kgくらいあったんだけど、1年もしないうちに70kgを切った。それって、高校生のときと同じくらいの重さですよ。懸垂だって学生時代の体力測定で19回が最高だったのに、今や25回できる体になった。『若返ってる!』と実感できたんです」

さらに、Facebookなどを通じてトレーニング情報を集める中で知り合ったトレーナーの誘いで、ベストボディジャパンにも自信満々で出場することに。若手選手の中に紛れてステージに立ってはみたものの、あえなく惨敗。「周りにチヤホヤされて出てみたら、ビックリするぐらいすごい選手ばかりで、もう大恥をかいた」と苦々しいデビューとなったが、同時に「若いやつらに負けられん、もっとやらなければ」と心にさらなる闘志を燃やすことになったのだった。

病を患うも力強く復活

本格的にトレーニングに目覚めて年々アップデートを重ねてきたが、コロナ禍の2021年夏に苦難が坂部さんを襲うことになる。末梢神経の障害によるギラン・バレー症候群を患い、数週間の入院生活を余儀なくされてしまったのだ。当然、筋トレは一時的にストップ。筋量も落ちてしまったが、それでも屈しないところに坂部さんの強さがある。

「入院することにはなったけど、できることはやってやろうと思っていました。病院の中でスクワットは続けていましたよ。とはいえ、やっぱり体はなまってくもので、退院してからはダンベルトレーニングから再開して徐々に体調を戻していく感じでしたので、その年のコンテスト出場は断念。前年もワクチンの副作用の影響で休んでいましたが、諦める気持ちはいっさいありませんでした」

苦難を乗り越えた坂部さんにさらなる転機が訪れる。現在トレーニングの拠点としているSure Gym(シュアジム)八街店が自宅の近くにオープン。24時間営業の無人ジムながら十分すぎる設備が揃い、かつ会員費は月額3,000円と破格。「毎日来れば1日100円!田舎なもんで基本空いているから、毎日自分の好きなトレーニングができる」と、充実の環境を手に入れた。現在ではオーナーとも関係ができ、「管理人のような形でジムを任せてもらっていて、もう家のようなものです(笑)」とにやり。

今では週に5日はトレーニング、2日はサーフィン。「インフルエンザにも小さい頃以来なってなければ、風邪すらもほぼひいてない」と、心身ともに超健康。満を持して出場した4月のコンテストで、見事な復活を果たしたのであった。

(後編に続く)

文・写真/木村雄大
取材協力/Sure Gym 八街店

◆SBC千葉大会で堂々としたボディを披露した坂部さん