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佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.29 荒木幸輔 前編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのはパワーリフティングの現役選手としても活躍する荒木幸輔トレーナーです。前編では「自分が行きたいと思うジム」を自らつくり上げた荒木トレーナーの歩みを紹介します。

「自分だったら入会するかな?ということを基準に価格や設備を決めました」

 

横浜の天王町にある「24時間フィットネスジム cresc.(クレッシェンド)」は、荒木幸輔トレーナーが自分の理想を形にしたトレーニングジムとなっています。365日24時間利用が可能で、入会金5,500円、月額6,490円と低価格設定。さらにスタッフアワーであればスタッフにトレーニングのアドバイスを受けることもでき、希望があれば本格的なパーソナルトレーニングも可能。水素水飲み放題などのサービスも充実しています。学生時代からトレーニングに親しみ、トレーニングの世界で生きてきた荒木さんだからこそのジムと言えるでしょう。

 

そんな荒木さんがトレーニングを始めたのは高校生のとき。何かのスポーツに生かすためではなく、「やることがなくヒマだった」ことがきっかけでした。

 

「野球を中学でやめて高校に入ってからは何もやっていませんでした。体を動かしたいなとは思っていて、市営の体育館のジムに行ったときに、初めてバーベルを触りました。元々、線が細かったので、ちょっと筋肉をつけたいと思っていただけなので、最初は完全な自己流トレーニングです。それから高校2年生の夏に、ひたすらジムでトレーニングをしていたら、新学期になって学校に行くと、周りの自分を見る目が違ったんです。それでこれは面白いなと思って、どんどんトレーニングにハマっていきました」

 

成長期ということもあって、見る見るうちにたくましい肉体を手に入れていった荒木さんは、高校卒業後にはトレーナー専門学校に進学。さらに「筋肉を生かせることをやりたい」と考え、キックボクシングを始めます。アマチュアの大会に出場を重ね、専門学校在学中にプロのライセンスまで取得しました。

 

専門学校卒業はゴールドジムで勤務しながら、キックボクシングの試合にも出場する日々を過ごします。しかし、プロの世界では思うような結果を残せず、キックボクシングからの引退とともに、ゴールドジムも退社して、新たなスタートを切ります。

 

「20代後半で加圧トレーニングのジムに就職して、パーソナルという形でお客様を見るようになりました。その後、店長を任されるようになって、自分のジムを持ちたい、自分の空間をつくりたいという思いが明確になっていきました」

 

ちょうどこの頃、荒木さんはパワーリフティングとも出会います。加圧トレーニングジムで勤務していくなか、新店舗の店長を任されることになります。こうしたタイミングで新たに始めたのがパワーリフティングだったのです。

 

「パワーリフティングのジムに通い始めて、たまたま最初に出場した神奈川県パワーリフティング選手権(83㎏級デッドリフト)で優勝しました。何かで結果を形に残すならこれかなと思って、今も大会に出場を続けています」

 

何事にもアクティブな荒木さんは、パワーリフティングでは日本代表にまで登り詰める一方で、2021年4月には自らのジムをオープンします。これはコロナ禍による影響もあってのことでした。

 

「2016年からフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動していたなかで、フランチャイズ店のジムを運営することになりました。そこで法人化してフランチャイズのパーソナルジムを5店舗経営していたのですが、コロナによって本部側が機能しなくなって、集客できなくなってしまったんです。せっかく会社にしたのにこのままではいけないと思って、自分でジムを始めることにしました」

 

ジムは音楽記号で「だんだん強く」を意味する「cresc.(クレッシェンド)」と命名。トレーニングは積み重ねによって「だんだん強く」なるものであり、ジムとしても、自分個人としても「だんだん強く」なっていきたいという思いが込められたものです。

 

「自分でパーソナルジムを運営していて感じたのですが、パーソナルトレーニングって一生続ける人はほとんどいないんです。パーソナルジムの場合、2ヵ月、3ヵ月というスパンで契約してジムに通っていても、目的を達成するとやめてしまいます。そしてフィットネスジムに入り直して自分でトレーニングを続けるという形だと思います。だとしたら、パーソナルを卒業しても続けられるジムならいいのではということで、パーソナルもあり、24時間通い放題でもありという仕組みにしています」

 

冒頭に記したように「cresc.」は、荒木さんの「自分が通いたいと思うジム」がコンセプト。マシンの設備や料金はもちろん、自身が現役のパワーリフターということもあり、競技用のベンチプレス、フリーウエイトも充実。パーソナル指導は距離感を大事にしています。

 

「パーソナルを受けたいという方にはしっかりヒヤリングして、求めているものを提供しますし、競技としてパワーリフティングをやりたい人への指導もできます。逆に自分の時間にトレーニングをしている人に対しては、求められればフォームチェックやアドバイスをしますが、おしつけの指導はしたくないので、距離感を大事にしています」

 

この春、ジムは3年目を迎え、順調に会員数も伸ばしていますが、荒木さんは現状維持でヨシとは考えていません。

 

「同じようなスタイルのジムも増えていますし、いろいろ変化をしていかないといけないなと思っています。将来的にはcresc.をUNDER ARMOURやReebokのようにスポーツブランドみたいにしたいなと漠然と考えています。そのための軸がジムとなるので、みんなが行きたいと思うようなジムをつくっていきたいです」

 

トレーニングが好きな人による、トレーニングが好きな人のためのジムへ。荒木さんは自分自身も、そして自身のジムも、クレッシェンドの名のごとく、だんだんと強く、一歩ずつ向上することを目指して活動を続けていきます。

 

というわけで、今回はここまで。次回は荒木さんにパワーリフティング流のベンチプレスを指導してもらいます。

 

 

【トレーナーPROFILE】
荒木幸輔(あらき・こうすけ)
フリーランスのパーソナルトレーナーとして活動後、パーソナルトレーニングジムのフランチャイズオーナーとして5あ店舗の経営と人材育成を学ぶ。2021年4月に『24時間フィットネスジム クレッシェンド 横浜天王町店』を開業。パワーリフティングの現役選手としても活動中で、2022年5月の世界マスターズベンチプレス選手権の日本代表として出場し、銅メダルを獲得した。
Instagram

 

【パーソナル情報】
24時間フィットネスジム cresc.
〔住所〕横浜市保土ヶ谷区天王町1-8-8アンドウビル1F
★入会金=5,500円
〔料金〕
★24時間ジム通常会員(月額)=6,490円
★24時間ジム年間一括会員=71,390円
〔荒木トレーナーのパーソナル料金〕
全4回(1回45分)=34,000円
全8回(1回45分)=60,000円
全16回(1回45分)=104,000円
お試し(1回30分)=4,500円
※価格はすべて税込
Instagram

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。