2022年11月、マッスルゲート静岡大会で突如姿を現わし、圧倒的な存在感でボディビル新人の部と75kg超級で優勝をはたした阿部ロイ選手。同年のゴールドジムジャパンカップでは大会MVPも獲得し、今年は日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)主催の大会に参加することを明かしています。今回は、さらなる活躍が期待される阿部選手の歩みを追っていきます。
病がきっかけでアメフトからボディビルへ
――初出場のマッスルゲート静岡では、鍛え上げたその体で圧倒的な存在感を放っていました。トレーニングはいつから始めたのですか。
高校1年生でアメフトを始めた時に、「この競技をやっているなら鍛えないといけないだろう」と思ってジムに行き始めました。でも、その時は月に1、2回、部活が休みの時に気が向いたらふらっとジムに行くくらいで、ほとんどはアメフトの練習の中で鍛えられました。
――高校、大学、社会人と競技を続けてきて、引退後のボディビルデビュー戦が静岡大会でした。転向したきっかけは?
社会人でもXリーグ(日本社会人アメリカンフットボール協会のトップリーグ)のチームでアメフトを続けていたのですが、入団した富士通フロンティアーズがリーグの中でもトップチームだったこともあって、なかなか試合に出ることが難しい状態でした。出場機会を求めてアサヒビールシルバースターに移籍したのですが、その直後に新型コロナウイルスと盲腸を同時に発症してしまって。復帰後は体力もパワーもガクッと落ちてしまったので、2021年限りでアメフトを引退して以前からあこがれていたボディビルに取り組み始めました。
――ボディビルにはいつからあこがれていたのですか。
大学生の時に通っていたゴールドジムで、いろいろなことを教えてくださる先輩ボディビルダーや有名なボディビルダーを見て「かっこいいな、アメフトを引退したらやってみたいな」という気持ちをずっと持っていました。もともとは通学路に新しくできたゴールドジムに通っていたアメフト部の友人から誘われて、半分ノリで入会したのですが、そこにはすごい体の人たちがたくさんいて、そんな人たちから多くのことを親切に教えていただいたことで、トレーニングが楽しくなって本格的に始めました。
脚はもともと苦手な部位だった
――普段はどのようなトレーニングを行なっているのですか。
基本的に胸、背中、肩、腕、脚の5分割で行なっています。本格的に鍛え始めたのはゴールドジムに入会してからなので、トレーニング方法は先輩トレーニーを見て学びました。今ではもう生活の一部になっていて、トレーニングをしないと気が済まないので決まったオフはなく、疲労がたまって「疲れたな」と感じたらオフにしています。
――自信のある部位はありますか。
胸と脚です。とくに脚は大会に出場するまでは鍛えるのが苦手な部位だと思っていたのですが、大会の写真を見て「良い感じに絞れているな」と感じたり、友達からも「脚が良かった」と言われたりすることが多かったので、今では自信のある部位になりました。
――脚のトレーニングはどのような方法で?
僕は腰が悪くていきなりスクワットなどはできないので、マシンを活用して鍛えています。最近はレッグエクステンションから始めて、次にレッグカール。この2種目で脚をつぶしてからハックスクワットやレッグプレスなどの高重量を扱える種目を行なうことで、体幹など他の部位を使わずに脚だけで押せる感覚になるんです。このトレーニングで脚がとても成長しました。
――トレーニングで気をつけていることはありますか。
ケガをしないこととトレーニングを楽しむことです。楽しくないと成長しないし、がんばろうとも思えないので、楽しむことはとても重要です。それこそディズニーランドに来たような感じでトレーニングしています(笑)。
★次回は昨年出場した大会について
取材・文・写真/シュー・ハヤシ 大会写真/木村雄大