慶応卒の”ジョジョ立ちサラリーマン”。筋トレの魅力は「発見と開発」【My Training Life】




筋肉隆々な体に情熱的フリーポーズ。第31回東京ノービスボディビル選手権(5月3日開催)でミスター75kg以下級の優勝に輝いた桐谷昌樹さんは、競技歴2年にして東京を沸かせる存在となった。

そんな彼から飛び出したのは「昔は筋トレが嫌いでした」という言葉。人気作品『ジョジョの奇妙な冒険』のBGMを起用し、ハイレベルなステージが話題を呼んだ男は、いったいどのような思いで筋トレに打ち込んでいるのだろうか。トレーニーの思いを探る連載「My Training Life」として、“ジョジョ立ちサラリーマン”の核心に迫った。

【フォト】桐谷さんの”ジョジョ立ち”ポーズの数々。そこにシビレる! あこがれるゥ!

筋トレはダンジョンを探検している感覚

「本格的にトレーニングを始めたのは30歳の手前くらいで、それまでは逆に筋トレを避けていました。というのも自分にとって体を鍛えるのは『やらされること』だったんです」

高校時代は野球部に所属していた桐谷さん。基礎的な筋力にはある程度自信があったため、野球の練習以外にキツい筋トレをする事に対して意味を感じず、苦手意識を持っていたと振り返る。慶應義塾大学へ進学後、新たな道として競技ダンスに打ち込んだ時も、就職後サラリーマンとして働く最中も、体を鍛えることに前向きにはなれなかった。

そんな彼がなぜボディビルダーになるほど筋トレ好きになったのか。転機は30代序盤。体力の衰えを感じてジムを訪れると、その時のトレーニングは何かが違った。

「自分の意思で筋トレを始めると『この筋肉はこうすると発達するのか』という発見があったんです。学生の頃は嫌々やっていましたけど、考えたら体には膨大な種類の筋肉がありますし、それを一つ一つ探求するのは楽しいことだと気づきました。やらされるのではなく、自ら楽しむことですね。自分にとって筋トレは、テレビゲームで未知のダンジョンを探検する感覚と似ているんです」

全身の神経を研ぎ澄ませ、終わりのない旅路を堪能する。すっかり筋トレにハマった桐谷さんは、「ジムでマシンをはしごするのは、ディズニーランドで『次はどのアトラクションに乗ろうか』と考えを巡らせる時と同じくらい楽しいです」と笑う。

心境が変わった彼の元には、立派なマッチョになる材料がそろっていた。持ち前の知性でボディメイクを探求すると、筋量アップはもちろん、ホットヨガを活用した減量法で効果的な絞りを実現。競技では社交ダンス仕込みのパフォーマンスが光り、唯一無二のフリーポーズを持ち味とするボディビルダーへと変身した。

情熱的なステージで会場を盛り上げる桐谷さん

2022年には北区フィジーク170cm以上級で初出場・初優勝、冒頭で触れた今年5月の東京ノービス選手権大会でも見事戴冠と、破竹の勢いでボディビル街道を進む桐谷さん。今や彼の代名詞となったフリーポーズも、トレーニングを楽しみ探求を続けた結果だ。そんな彼にあらためて筋トレの魅力を聞いてみた。

「自分の体の『発見と開発』ができることが一番の魅力です。こうしたら体が大きくなった、ここのカットが出たとか、いろいろと試行錯誤していく過程が楽しいんです。今は大会という目標もありますから、そこに向けて仕上げていくのもモチベーションになっていますね。みなさんにもボディコンテストに一生に一度は出てもらいたいです。そうすると、本当に自分の体のことを好きになれるんじゃないかと思います」

トレーニングを誰よりも楽しんでいるからこそ、観客を魅了するステージが生まれるのだろう。“ジョジョ立ち”だけではない彼の魅力が、今後もボディビル界を沸かせるかもしれない。