広がる禁煙ムーブメント。愛煙家の進む道は!?




町中に灰皿が設置され、どこでもタバコが吸えた時代。現在はそんな過去から一変し、街中での一服すら苦労する時代になっている。

『世界禁煙デー記念イベント(5月23日開催)』に登壇したワールドベースボールクラシック(WBC)監督の栗山英樹さんは、プロ野球界の喫煙事情を以下のように語る。

「私の現役時代はほとんどの選手が喫煙者で、遠征のバスの車内が煙で真っ白になるほど
でした。ですが、私が監督を務めた北海道日本ハムファイターズでは、2020年から選手を含めた球団全員が禁煙に取り組んでいます。まだ100%ではありませんが、選手の将来も考えて契約更新の際に禁煙を進めています」

人々にとって一種の娯楽であり、かつてはステータスを示す要素でもあったタバコ。優雅にタバコをふかす男性の姿からは、『タバコ=かっこいい』という印象すらも与えられたことだろう。

しかし、現在では街中の様子や栗山監督の話から垣間見えるように、禁煙のムーブメントが広がってきている。その理由としては、タバコの危険性が明確に認知されてきたことが挙げられる。

街中でなかなか灰皿が見つからないのは『分煙』の取り組みによるものだが、その理由としてはタバコの副流煙の有毒性がある。

タバコの煙には80種類以上の発がん性物質が含まれているとされるが、喫煙者はフィルターの作用で吸い込む発がん性物質の量は軽減される。しかし、副流煙による受動喫煙の場合はフィルターを通さないため、喫煙者のまわりの人が吸い込む有害物質は、喫煙者本人よりも数倍高い濃度となっているのだ。知らず知らずのうちに周囲に健康被害を与えることから、街中での喫煙が問題となっている。

そこで、最近流行している加熱式タバコに注目が集まるわけだが、こちらも普通の紙巻きタバコに比べて害は弱いものの、発がん性物質を含んでいることは同様。有害物質の量が少ないため時間がかかっているが、厚生労働省などがさまざまな研究を行ない、科学的根拠をつくっている段階なのだ。

イベントに参加した星乃夢奈さん(左)

世界禁煙デー記念イベントに登壇した、広報サポーター・インフルエンサーなどマルチに活躍している星乃夢奈さん(18歳)は「私はまだ喫煙ができる年齢には届いていないのですが、私と同じくこれから20歳を迎えて喫煙が可能になる方や、実際に喫煙されている方々に体に悪影響を与えてしまうことをお伝えして、今よりも健康に、楽しくこれからの日々を過ごせるようにサポートできたらなと思っています」と語った。

星野さんのコメントから、若者たちにとっても喫煙のとらえ方は変化していることが伺える。もちろん、嗜好品として確かな魅力があることから、日々欠かせないものとなっている愛煙家も多くいるだろう。ただ、タバコが万人向けの嗜好品から、人に迷惑をかけず自らの責任で楽しむものへと変化している以上、その付き合い方にもさまざまな工夫が必要になってくるかもしれない。