女子がハマる「美ボディ大会」。女王がその魅力を語る【ダンシーあずさ(前編)】




ビキニ女王がぶつかった壁

KURUMI 競技を続ける中で、やめようと思ったことはなかったですか?

ダンシー 1回だけありますね。2020年にコロナで大会が全部キャンセルになったときに、私コロナで実の父を亡くしているんですよ。そのときは精神的にきつくて、トレーニングも5~6か月くらいできなかったんですよね。もはやジムに行って人に会うのも嫌で、こんな状態だったら競技をやめようかなと。その時は家族もすごく落ち込んでいて、競技をやっている場合ではないと思ってしまったんです。

KURUMI 精神的にとても厳しい状態だったと思います。その中でも続けられたのはどうしてでしたか。

ダンシー 父の日記があって、その中に「競技をやっている私がすごく好きだった」というようなことが書いてあったんです。それを見てお父さんは今いないけど、家族のために競技をがんばりたいと思いました。それもあって続けたのですが、2021年は本当に勝ちたい気持ちがすごく強くて、競技がすごくつらかったです。がんばらなきゃいけない、家族につらい顔を見せられない、でも絶対にJBBF FITNESS JAPAN GRAND CHAMPIONSHIPS(※1)で優勝するんだという気持ちでしたから。「家族を少しでもハッピーにさせてあげたい」みたいな気持ちでやってしまったのですごくきつくて。その年だけマジでやめようと思いましたね。本当に自分自身に余裕がなかったです。

※日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)主催。フィットネス競技の階級別王者が階級の壁を越え、各競技の真の日本一を決定する大会

KURUMI しかも長い期間トレーニングを休んでいたということで、体を戻すのも大変ではなかったですか。

ダンシー たしかにその頃は筋肉も体重も落ちて、結構ガリガリに痩せていましたね。もう無理だなと思ったんですけど、やり始めたら意外と人間の体って戻ってくるんですよね。その点は助かりましたけど、精神的には本当に競技をやめたいという気持ちでした。

KURUMI 2021年の世界大会(IFBB世界フィットネス選手権)に出場されなかったのも、その心境が関係していましたか。

2021年のJBBF FITNESS JAPAN GRAND CHAMPIONSHIPSでの1枚

ダンシー そうですね。先ほど言った2021年のGRAND CHAMPIONSHIPSは準優勝だったので、世界選手権も行かなかったんですよ。オールジャパン選手権(階級別大会)では連覇をしていましたけど、無差別を獲って真の日本一にもなれていないのに、世界に挑戦しても意味がないと思ってしまったんですよね。あとはやっぱりすごくつらかったので、2021年のGRAND CHAMPIONSHIPSで競技を終わりにしたいという気持ちがありました。

◆競技は人生のほんの一部