千葉が生んだ“フィジカルファイター”のルーツ「2mの外国籍選手も守れるように」【原修太(前編)】




たくましい胸板に屈強な上腕。男子プロバスケットボールチーム・千葉ジェッツには、ひときわ目を引く筋肉隆々な選手がいる。#31、原修太。“千葉が生んだフィジカルファイター”と紹介される彼は、力強いドライブや3Pシュート、コンタクトに負けないフィニッシュ力を持ち味としている。今でこそ187cm、96kgという体躯を誇る原だが、以前から今の体やプレースタイルというわけではなかった。

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“自分だけの武器”を求めて

©︎CHIBAJETS FUNABASHI/PHOTO:Keisuke Aoyagi

「大学までは外角シュートが持ち味のシューターでした。フィジカルの重要性を感じたのはプロに入ってからですね。僕は他の選手のようにジャンプ力やスピードがあったわけではなかったんです。Bリーグにはフィジカルを活かしたプレースタイルの選手が少なかったので、自分だけの武器がほしくて体を鍛え始めました」

そこで彼が取り組んだのがフィジカルトレーニング。とくに力を入れ始めたのは、2016-17シーズンにケガでチームを離れてからだった。戦列を離れていた彼がマッチョになり、コートに戻ってきた姿は記憶に新しい。

屈強な体を目の当たりにすると、すごい重量を上げているのでは? と想像したくなるが、大切にしているのはあくまで“バスケで活かすため”のフィジカル強化なのだという。

「トレーニングを始めて2~3年くらいは体がどんどん大きくなって、見た目的にはすごくいい感じだと思っていました。ただ、いくら扱える重量が上がって体が大きくなっても、当然ドライブが上手くなるわけではありません。むしろ体が流れてしまうこともあって、ただ鍛えるだけではだめだと思いました」

重要なのは体の使い方。トレーナーに課題を共有することで、筋トレのみならずアジリティ強化など、課題に合ったトレーニングメニューに都度取り組むことができた。原は積み重ねた数年を経て、「やっとイメージするプレーに近づいてきました」と口にする。

©︎CHIBAJETS FUNABASHI/PHOTO:Keisuke Aoyagi

次の課題は“より使える筋肉”を目指すこと

昨年(2022年)のスタッツを見れば、自身が感じる手応えにも納得だ。2月にはBリーグキャリアハイの1試合22得点を記録し、レギュラーシーズンベストファイブにも選ばれた。

そんな原にトレーナーはあるアドバイスを送った。それは、鍛え上げた筋肉をさらに「使える筋肉」に昇華させることだ。

「今言っていただいているのは、体は大きくなったけれど『遅い筋肉』がついているということです。遅筋はバスケではあまり使わないので速筋をつけていこうということで、ここ1年はメニューをガラッと変えて取り組みました」

ミッドサイプル、ハイプル、スナッチなどのクイックリフトに加え、スクワットやルーマニアンデッドリフト、プッシュプレス、プッシュジャークといった種目を実践。筋力アップとスピード向上を目的とし、負荷の重さや動作スピードを調整している。

大目標は100%発揮できていない力を活用すること。もっと強く、もっと速く――。ジェットエンジンを整備するかのごとく、原修太の肉体改造第2章が始まっている。

「僕は身長が190㎝ないので、代表に入るために必要なのは2mの外国籍選手を守れるぐらいのフィジカルをつけて、強度の高いディフェンスをやることだと思っています。オフェンスが上手い選手は日本代表にもリーグにもいますけど、フィジカルを活かした守りやドライブをしている選手は少ないと思います。そこをもっと極めて、Bリーグで1人しかいないような選手を目指していきたいです」

鍛えたフィジカルで目指すはオンリーワンの選手。昨シーズンの活躍からも、その目標に着実に近づいていると言えるだろう。ただ彼にはそれだけでなく、体づくりに対するもうひとつの思いがあった。

(後編へ続く)

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