難病と闘うマッチョBリーガー「スポーツを通じて勇気を与えたい」【原修太(後編)】




男子プロバスケットボールチーム・千葉ジェッツが誇る肉体派プレイヤーである原修太。その肉体と甘いマスクからついたニックネームは、東山動植物園のイケメンゴリラ・シャバーニにちなんだ、“ハラーニ”。多くのファンに愛される彼は、2016 年からコツコツとフィジカルを磨いてきた。

そんな彼には、コート上の選手以外にも闘うべき相手がいる。自らが抱える潰瘍性大腸炎という難病だ。この病気は大腸の粘膜に炎症が起こることにより、下痢や腹痛、血便などの症状をもたらすというもので、日本では難病に指定されている病である。

病が原を襲ったのは2018年のこと。入院生活でコートを離れる中、同じ病と闘うアスリートが原を支えた。

©︎CHIBAJETS FUNABASHI/PHOTO:Keisuke Aoyagi

【フォト】「2mの外国籍選手でも守れるように」フィジカルファイター・原修太選手のプレー写真

プレイヤーとして自分ができること

「入院中、ネットで自分と同じ病気のアスリートを調べたら何人か出てきたんです。オリックス・バファローズ(プロ野球)の安達了一選手が病気を抱えながらスタメンで活躍している姿を見て、自分も大丈夫かもしれないと勇気をもらえました。それからは、自分も安達選手のような立場になりたいと思ってリハビリをしていましたね。今は試合に出られる状態になったので、病気を公表して活動するようにしています」

復帰後は以前から力を入れてきた肉体改造を続け、2019年の17試合目にシーズン初スタメンを奪取。そこからは先発で出場を続け、フィジカルを活かしたディフェンスでチームに貢献した。そんな原には、賛辞よりもうれしい声が届いていた。

©︎CHIBAJETS FUNABASHI/PHOTO:Keisuke Aoyagi

「『病気を抱えながら体をつくっているのは励みになる』と同じ病気を抱えるファンの方から言っていただきました。この病気は体重が大きく落ちやすいので、自分の姿が希望になっていたのはうれしかったですね。もちろん鍛えているのはプレーのためですが、副産物的にいろいろな人に勇気を与えられてよかったです」

自分の活躍で勇気を与えたい――。それがバスケットや筋トレに取り組む原動力になっているのだ。とはいえ病を抱えながらもプレーするのは、決して精神論だけでは成り立たない。症状にはストレスが大きく関係することもあり、原はリカバリーとメンタルケアを大切にしているという。体と心を丁寧に磨きつつ、原はこれからも大目標を追い続ける。

「バスケ選手として、連勝記録や天皇杯優勝などの記録にも挑みたいと思っています。天皇杯と地区、リーグでも優勝することですね。三冠したチームがBリーグ史上ないので、それを達成したいという思いがあります。僕も今年で30歳なので、プレーで後輩をもっと引っ張っていきたいと思います」

チームメイトや同じ病の人々にとっても、彼の存在は大きな支えになることだろう。目指す目標をめがけ、今シーズンも原は鍛えた体で躍動し続ける。

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