平野紫耀に届け。深紅パンツの“筋プリ”が7連覇も「余裕なわけがない」




見る人にとっては「意外」と感じたかもしれない。筆者自身もボディビルのステージを見るようになって数シーズン目だが、その光景は初めてであった。最軽量級クラスの選手としてこの日一番最初にステージに姿を現したその男は、深紅のボディビルパンツを身にまとっていたのだ。

【フォト】京都に舞い降りた筋肉界の平野紫耀? 「ツキヨミ」でポージング

9/3(日)に京都で行なわれた「第27回日本クラス別ボディビル選手権」の55kg以下級で優勝したのは、今年も赤澤範昭だった。これで大会7連覇、まさに敵なしといえる記録だが「実は最後の水抜きも思うようにはいかず、コンディションは良くなかった」と振り返る。

実際、予選比較審査のファーストコール(その時点での上位選手)で名前を呼ばれるも、立ち位置は3番手で、ジャッジノートを見ても3位票を入れている審査員がいたほど。ついに牙城が崩れてしまうのか……という雰囲気もあった中、優勝を決定付けたのは得意のフリーポーズだった。

1週間前の「第35回日本マスターズボディビル選手権」と同様に、BGMはKing & Prince(キンプリ)の「ツキヨミ」。ポーズの構成もまったく同じだが、一つだけ違った点があった。そう、パンツの色だ。前週はこれまでも着用してきた青、この日は先述の通り深紅。当然、そこには理由があった。

「実は先週も意味があって。青はキンプリ元メンバーの神宮寺勇太、深紅は平野紫耀のメンバーカラー。深紅は、この日のために新たに買いました」

ビルパンカラーの決めたのは、昨年に「ichiban」でポーズを披露した際にもアドバイスを送ったという、キンプリの大ファンである中学生の娘・なの春さんだろう。推しカラーを着用した赤澤は、この日もエンタメ性を保ちながらボディビルダーとしてしっかりと筋肉とポージングを見せるパフォーマンスを披露。その結果、規定ポーズの審査とフリーポーズの審査の間で、1名の審査員が赤澤の順位を上位へ入れ替えていた。

大会後にSNSを更新した赤澤は優勝を報告するとともに、「毎年言われるのが、何連覇もしてるから余裕でしょ。どんな大会でも余裕なんてあるわけがなく不安でしかない。今年は最後のサウナで3時間入って500gしか落ちず後100gがどうしても落ちなかった」と赤裸々に明かした。それでもやり遂げられたのは、「今まで弱音を吐いた事なかったけど、最後まで頑張れって応援してくれてた家族に向けて優勝した瞬間のポーズが1番」と綴っている。

普段は「#モフモフとムキムキ」など風変りなSNS投稿で人気を集めているが、ボディビルを楽しいものにしたいという思いとギュウギュウの筋肉、そして家族への愛を小さな体に詰め込みながら金メダルを獲得した赤澤。日本一のマッスルエンターテイナーが次はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、今から楽しみだ。

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