8か月かけて20kg減量。相澤隼人世代の新星が軽量ボディに筋肉みっちり詰め込み風穴を開ける




ボディビル界は、確実に変わりつつある――。今年社会人2年目の現日本王者・相澤隼人を筆頭に、吉岡賢輝、喜納穂高、杉中一輝と20代の選手が続々と日本選手権ファイナリスト入り。今年の東京選手権王者であり、新たに日本TOP12入りが期待される阿部ロイも28歳だ。

【フォト】60kgの中にみっちり筋肉を詰め込んだ岡のステージフォト

「今年はこの大会一本に絞ってやってきました。純粋にうれしいです」

清々しい笑顔で思いを語るこの青年は、三重県出身の岡玲治・24歳。小学生からトレーニングを始めていたという彼は、2017年の全国高校生ボディビル選手権で相澤隼人に次ぐ準優勝をはたし、10代で一般部の大会へ。昨年の日本ジュニアボディビル選手権(23歳以下の全国大会)の70kg以下級で準優勝を達成。着実なステップアップで成績を伸ばし、9/3(日)に開催された「第27回日本クラス別ボディビル選手権」では、この若さで60kg以下級の頂点に立った。

「ボディビルの基本である全身の筋量を増やし、仕上がり良く、いかにサイズを残しながら減量していけるかは心掛けてきた」と話す岡。自身のSNSでは大会に向けた減量記録を日々投稿しており、今年は新年早々1/5(78.6kg)からスタート。毎月こつこつと、約8か月の時間をかけた減量は20.3kgにも及んだ。

その努力の末に優勝という地位を手に入れたわけだが、この階級では、昨年まで豊島悟(50歳)が3連覇。その前は、この日準優勝の石井輝男(53歳)が連覇しており、それ以前も含めてもまさにベテラン勢の独断場となっていたクラス。60kgという体重制限がある中にも筋肉を詰め込む難しさがあるがゆえ、若手が芽吹きにくい場所ではあるが、ついに風穴を開けた岡の躍進は、ボディビルの歴史を動かしたと言っても過言ではないだろう。

「一回勝っただけではなく、来年、再来年と勝ち続けることが大切だと思います。今年は日本クラス別の優勝だけを目指してきたため大会出場を終えますが、来年以降は、アジア選手権に挑戦したい気持ちがあります。そのためには、来年も日本クラス別で優勝します」

地道な積み重ねでつかんだビッグタイトル。三重からアジア、そして世界へ、ニュースターの歴史はまだ始まったばかりだ。

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