【渡辺華奈のデートするならジムがいい 第73回】柔道で培った失敗に負けないメンタリティー




以前、自分が愛読してきた「近代柔道」が休刊になってしまったことをお伝えしましたが、新たに柔道情報を発信する雑誌「柔道マガジン」が創刊されたと聞いて、喜んでおります。というわけで、今回は自分が柔道から学んできたことを書きたいと思います。

「柔道マガジン」を読んでいます

柔道は礼儀、礼節に厳しいので、目上の方への挨拶や接し方、基本的な人としての振る舞いをしっかり教わってきました。それは確実に今に生きていると思います。

 

礼儀、礼節は当然として、それ以上に大きいのは、物事への取り組み方です。柔道は競技レベルが高く、練習もすごくきつく、毎日練習するのは当たり前のことです。柔道に限らず、部活で下積み、毎日練習することを身につけている人は、何事に対してもコツコツ頑張れる、継続することができる人が多い印象があります。これは社会においても同じなのかなと思います。

 

自分は柔道を通じて、コツコツ続けることは当然のこととして身につけてきました。でも、社会に出てみると、それが当たり前ではない人もたくさんいることを知りました。取り組む姿勢や頑張る姿勢を学生時代に身につけておくと、会社でも重宝されると思います。自分たちのような格闘技の練習でも、毎日頑張っている人には教えたいと思いますし、仕事でも熱心に取り組んでいる人には、チャンスを与えたいと思うのではないでしょうか。

 

こうした取り組む姿勢に加えて、もう一つ大きいと思うのは、うまくいかなかったときのメンタリティーの部分です。

 

谷亮子さんや、レスリングの吉田沙保里さんでも負けることがあるのですから、競技をやっていれば、どんな強い人でも、負ける経験をしています。負けたり、失敗したりするのは、嫌なことですが、負けたからこそ、次は負けないようにと試行錯誤したり、立ち直っていくために気持ちをもう一度奮い立たせたりするわけです。そうやって、社会に出て失敗しても、めげないメンタリティーは鍛えられていると思います。

 

自分は柔道では何回も負けているし、何度も恥ずかしい思い、悔しい思いを経験しています。だから負けることや失敗することがあっても、心が折れることはありません。むしろ、負けや失敗よりも、それを恐れて何もやらないことのほうが恥ずかしいことだと思っています。そういう考え方は、柔道を通じて培われたものです。

 

学生時代に頑張った経験がないと、「ダメならダメでいいや」とか「うまくいかなければやめてしまえ」と考えてしまう人がいる気がします。こんな言い方をすると老害と言われそうですが(笑)、自分でやると決めたことはやれ!と思ってしまいます。老害ですみません。

 

頑張らなくても、たまたま結果が出たり、うまくいくこともあるでしょう。でも、何の努力もなしに得た結果よりも、頑張った先に出た結果のほうが何倍も嬉しいものです。

 

自分もそうなのですが、柔道に一生懸命取り組んでいる選手の中には、「柔道しかできない」というコンプレックスや負い目を感じている人がいると思います。だけど、本気で取り組んだこと、そこで学んだことは、必ずこの先の人生で生きてくるので、目の前のことにしっかり向き合って頑張ってほしいなと思います。

 

なんか、老害みたいですみません(笑)。

 

 

 

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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。2021年よりアメリカ格闘技団体「ベラトール」に参戦している。所属はFIGHTER’S FLOW