ステージBGMの発想の素は『タイタニック』
――こうしてお話を聞いていると、本当に細部に至るまでこだわりが感じられます。
見ていて楽しいステージにしようと考えれば考えるほど、どんどん細かくなるものです(笑)。選手たちからも「ポージングが難しい」とは言われますが、それよりも「できるようになりたい」という声のほうが大きですね。難しいぶん、練習すればどんどんうまくなると思いますし、表現のスキルが上がっていきます。
――そういったところが、このMERMAID部門は他団体のドレス部門と一線を画している理由があると思います。以前にSBC TIGHT部門やSBC DENIM部門の誕生秘話を伺ったときにも言っていましたが、BGMにも相当こだわっていますよね。
もちろんです。これまでのカテゴリーは、基本的にテンポが速いものが多かったのですがMERMAID部門はやはり海のイメージなので、特徴的なスローテンポの曲にしました。作家さんにイメージを伝えるにあたっては、『タイタニック』の曲(セリーヌ・ディオン「My Heart Will Go On」)や、ディズニーの『リトル・マーメイド』の曲を参考にしましたね。かなり悲しくて切ない感じ、でもその中に強さもある。
――スローでスタートしますが、徐々にテンポが上がっていくのが印象的です。
海は穏やかなときもあれば、ある種の“恐さ”もあるじゃないですか。荒波のような、そういうところもイメージしています。
――衣装についてはいかがでしょう。一般的によくイメージされる華やかなイブニングドレスとはまた違う、生地感なども独特の印象です。
よく見ていただいていますね(笑)。このドレスも特注のものなので、グループ会社にあたるのですがデザイナーさんと相談してつくりました。マーメイドのようなボディライン=マーメイドラインを実現するには素材が大事だということになったのですが、実はあのドレス、ラメ糸とナイロン糸を二重に編み込んだニットでできているのです。一般的なドレスによく使われるサテン生地は煌びやかにはなりますが伸縮性がないので、体にフィットせずにラインがうまく出ないですし、お直しもかなり大変。だけどニットなので、着心地も良くて動きやすいドレスになっているんですよ。
――まさにSBCに出ないと着られないドレスであり、このために出たいと思うような特別感もありますね。
今年は赤、薄いピンク、白の3色展開でカテゴリーによる色の指定はないので、お好きな色を着ていただきたいです。ちなみに、本当は海をイメージした青色系もつくりたかったのですが、残念ながら製造の都合で叶わず……来年以降に期待していてください(笑)。