その腹筋、板チョコのごとし。「腹」を制し名門・早稲田復活の狼煙をあげる




ボディビルは究極の個人競技である。ステージに立てば、己がつくり上げてきた肉体を、鍛錬を積んできたポージングで披露する。そこに仲間の助けはない。特に社会人になればその色はより濃くなるだろう。

だからこそ、仲間とともに研鑽を積み、ステージに立てば心からの“応援”の声が集まり、それをパワーに変えていける学生ボディビルには、この4年間でしか味わうことのできない魅力と興奮がある。

「中学、高校と周りに筋トレ好きな人が多くいるような環境ではありませんでした。なので、今の環境はすごく幸せなんです」と、所属するクラブへの思いを語ってくれたのは、早稲田大学2年の小原啓太(こはら・けいた)だ。

【フォト】板チョコ腹筋を搭載する早稲田の期待の星・小原

9/30(土)、埼玉・深谷市民文化会館にて開催された「第57回全日本学生ボディビル選手権大会」で小原は、4位入賞とともに、部分賞「腹」部門を受賞した。

「一週間前の関東学生が5位だったので、1つ上げて4位という結果はうれしい反面、やはり悔しくて複雑な思いなのが本音です。腹の部も、自分はそこに特別に力を入れてきたわけではないので正直びっくりですが、評価していただけてありがたいですね」

中学生時代に腕相撲大会で負けた悔しさからトレーニングをはじめたという小原。自己流の自重トレーニングから徐々にステップアップし、大学に入ってから本格化。「早稲田のバーベルクラブのことは入学する前から知っていましたが、競技をやるようになるとは当時は思っていませんでした」と話すが、2年生ながらこれだけの結果を残せたのは、地道に積み重ねてきたトレーニングの成果だろう。

一方で、過去に名選手を多数輩出し団体優勝の常連であった早稲田大学だが、ここ数年はタイトルから遠ざかっており、2018年の関東大会で分部良が部分賞「腹」獲得、同年の関東&全日本での団体優勝が最後だ。新たに参戦したり力を伸ばしてきた大学にやや押され気味な印象はあるが、まだ2年生の小原の台頭は、名門復活の狼煙となるのは間違いない。

同部OBであり監督の和田駿氏も「小原は、早稲田っぽい体をしているんです。しっかり腹の部を獲りましたし、ステージングも、早稲田の名だたる学生チャンプを彷彿とさせるものでした」と評しており、今後の活躍が楽しみだ。

「今年が初めての出場ですし、まだクラブに大きく貢献できたわけではないと思います。ただ、早稲田復活のきっかけというか、その一端を担えたらいいなと思っています。来年も、まずは学生ボディビルに絞って挑戦する予定です。部分賞をもっと獲りたいですし、もちろん優勝もしたい。何よりも早稲田への恩返しの思いも込めて、『早稲田も上がってきたな』というところを見せれるようにがんばっていきます」

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