10/8(日)に開催された、フィットネス真の日本一決戦「JBBFフィットネス・ジャパン・グランド・チャンピオンシップス2023」(通称・グラチャン)。メンズフィジークで頂点に立ったのは、昨年に続き伊吹主税だった。審査表を見ると、彼に4位票を入れた審査員もいたほど、誰が優勝してもおかしくない僅差のバトルだった。
【フォト】これがフィジークだ。伊吹主税が示した日本一のボディ
「もうバチバチの戦いになるのはわかっていたので、そういう中で優勝をいただけて、驚きと、安堵の気持ちがいろいろと混ざっていて……それを一言でまとめて『うれしい」ですね」
昨年、IFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)の国際審査委員長を務めるパウエル・フィルボーン氏が来日してグラチャン後に開催したセミナーを受けて、とにかく“審査基準”という言葉が大会が行なわれるごとにフィジーク界隈を駆け巡った1年だった。「あの選手がこの順位?」「今の基準ならこうなんだ」という感想を各大会で目にしたことは一度や二度ではなく、当然、グラチャン王者の伊吹も例外ではない。これまでと同じやり方では、大きく順位を落としかねないと考えたことだろう。
「僕自身、あらためて自分を見つめ直すことになりました。『自分にとってのフィジークって何なんだろう?』と、それをとにかく追求した1年だったんです。今年は我慢の年になるんじゃないかと考えていて」
我慢とは。
「トレーニングをしている人にとって、筋肉をつけてどんどん大きくなりたいと思うのが多くの人の心理だと思います。でも大きくなるんじゃなくて、いかに形を見せるか、それがメンズフィジークという僕らがやっている競技なので。筋肉をつけてどう形を変えていくかを研究しましたし、去年と比べると1kg以上落として仕上げたのが事実です」
筋肉を落とせばいいのではない。ほど良く筋肉をつけつつ、形を整えていくことでつかんだ勝利。基準の変化にも柔軟に対応して勝負に徹し、日本2連覇を勝ち取った伊吹が次に見据えるのは、やはり世界だ。昨年のIFBB世界男子選手権のメンズフィジーク173cm以下級では5位、さらに上を目指したい。
「今年は世界選手権でのリベンジを目標に掲げてやってきました。贅沢は言いません、色のついたメダルを日本い持って帰ってきたいと思います」
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