今年、荻島順子のステージを見るのは4回目だ。7月の「第58回東京ボディビル選手権」、8月の「第34回ジャパンオープン選手権」、9月の「第27回日本クラス別選手権」、そして10/8(日)の「第41回日本女子フィジーク選手権大会」。そのすべてで、彼女は金メダルを手にした。
大会を経るごとに磨きがかかっている印象。だが、彼女は言う。
「自分は何も変えてません。変わらずに同じことを続けているだけ。自分は変わらないのに、どこか周りの世界だけが変わっていくような不思議な気持ちです」
日本の女子フィジーク界においてはここ数年、澤田めぐみが絶対女王として君臨。2017年、2018年と連覇、2019年は高原佐知子に譲ったものの、2021年、2022年と再び連覇。彼女を止める存在は現われるのか……という中で出てきたのが、競技歴3年目の荻島であった。
予選審査のファーストコール(その時点での上位選手)で澤田、清水恵理子とともに呼ばれて比較審査が行なわれ、一通りの審査が終わった最後、今度は澤田と荻島の二人だけの名前がコールされた。正真正銘の一騎打ちのバトルである。
「澤田さんと2人で並んだときに、顔を見て『あっ、二人になったんだ』と舞い上がるというか……重圧がズンときましたね。ついに、このときがきたんだと」
彼女にとって澤田は師匠の一人。ただ筋トレが好きだった彼女は、トレーニングや体づくりはもちろん、女子フィジークという競技のすべてを澤田から伝えられてきたという。「本当に信じられない気持ちです」というシンプルな言葉に、その思いが詰め込まれている。
次なる目標は、約1か月後にスペインで行なわれる「IFBB世界選手権」だ。
「日本代表として恥ずかしくない成績を残したいと思います。夢のようなことがあっという間に続いて、もう自分がわからなくなってきてはいるのですが(笑)、一生懸命にトレーニングをして、小さくならないようにしっかり食べて……これまで通りのことを繰り返すだけです。あとは、心を強く持って、自分を信じて」
2年半前に東京・品川での「マッスルゲート新人戦」のステージからスタートした彼女は、東京で一番になり、日本で一番になり、ついに世界で一番を目指して羽ばたいていく。
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