宮城野親方(第69代横綱白鵬)が応援サポーターを務め、女子相撲の発展と普及への願いが込められた大会『第1回ドリームガールズ杯女子相撲大会』(2/11)が東京・すみだフットサルアリーナにて開催された。同大会は、全国の小学1年生から高校3年生までの女子を対象とした女子力士念願の舞台だ。
運営の立場から大会を支えた野﨑舞夏星さんは、日本人として初めて軽量級世界一に輝いた女子相撲界屈指の実力者。『美しすぎるアスリート』としても話題をさらった彼女は、大学卒業後はテレビ局に就職し、メディアの立場から女子相撲をはじめ各スポーツの普及に努めている。そんな野﨑さんに大会後の思いを聞いた。
――今回、ドリームガールズ杯が初開催されました。率直にどのような思いですか。
「男子の『白鵬杯』に出ている選手の姉妹からの声を受けて、宮城野親方(第69代横綱白鵬)がこういった大会を開いてくださったということで、女子相撲という文化を広げていくために重要な第一歩になったと思います。素晴らしい施設で開催でき、これだけ多くの方々にご来場いただけた光景を見て、女子相撲をやっていた身としてすごくうれしかったです」
――野﨑さんが現役だった頃は、男子に混ざって試合に出ることがほとんどだったと伺いました。
「そうですね。私が小学生の頃は、女子の全国大会というと年に1回しかありませんでした。それと比べると、今は大会がどんどん増えてきていますね。女子相撲という競技があることをいろいろな人に知ってもらう機会ですし、大会を観た人に『面白そう』と思ってもらえれば競技人口もどんどん増えていくと思うので、ドリームガールズ杯の誕生はいいことしかないと思います」
――今日、学生たちの相撲を見てどう感じましたか。
「どんどんレベルが高くなっていると感じました。やはり競技人口が増えれば増えるほど、一緒に稽古をする仲間も増えていくので、競技の普及とともに選手たちの実力も向上しているのかなと思いました」
――野﨑さんはレスリングと柔道を経験しており、相撲でのスタイルを確立するのに苦戦したと伺いました。
「そうですね。私は相撲だけやっていた選手と違って、もともとレスリングから入って相撲・柔道と幅を広げていきました。相撲一筋の選手の良さもありますし、他の競技から入った選手の良さもあると思うので、小学生や中学生のうちは自分のやりたいことにいろいろ挑戦して、その先に『自分にはこれが合っている』とか『これが楽しい』と思える競技に絞っていくといいと思います。その中で最後に相撲を選んでくれたらうれしいですね」
――元選手の立場から、相撲におけるフィジカル強化に有効なトレーニングを挙げるとしたら何になりますか。
「やっぱり四股だと思います。私は、一番基礎となる四股を稽古がない日も自宅でやって、体幹や足腰の強化をしてきました。土俵際での投げ合いになった時にはとくに足腰の強さが重要になりますからね。今ではいろいろなマシンを使ったり、先進的なトレーニングなどもあるかと思いますが、四股は相撲における基盤をつくるトレーニングです。他のスポーツの競技力向上にもつながっていくので、現代の選手たちにも取り組んでほしいです」
――女子相撲の魅力を伝えるために、大学卒業後はテレビ局に就職してディレクターを目指されていると伺いました。現在のお仕事はいかがですか。
「じつは今は配属が変わって、編成部という部署で働いています。以前はスポーツの現場に行って取材をすることが多かったんですけど、今は番組の企画や調整がメインで、オフィスワークが多くなりましたね。こういった立場からも相撲を盛り上げていきたいなと思います。現場に出ていた時よりもスケジュールに余裕も出てきたので、今はかなり弱体化していますけど、これからは子どもたちに相撲を指導していけたらいいなと思います」
――最後に、今後の女子相撲の発展について思いを伺えますか。
「女子相撲は今、どんどん発展している途中だと思います。相撲というと大相撲のイメージがあって、体の大きな男性がやっている印象だと思うんですけど、女子選手のみなさんにも『こんなに素晴らしいスポーツなんだ』と胸を張って取り組んでほしいと思います。その先にオリンピック競技化など、さらに発展していってくれたらうれしいですね」