増え続けるフィットネス人口 集客できるパーソナルトレーナーになるために大切なことは?【春の筋活超入門】




パーソナルトレーナーが一般的な職業として認知され、さまざまな特色を持ったトレーナーが活躍している現在。パーソナルトレーナーを目指したい人は、どうすればいいのでしょうか? 多くのトップ選手を育成し、指導歴約30年を誇る大長武史トレーナーに話を聞きました。

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豊富な指導経験とヒューマンスキルが必要

フィットネスブームが一時的なものと考える人もいるかもしれませんが、一方でダイエット、健康、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防、アスリートやジュニア年代の運動能力向上など、さまざまなニーズに応える筋力トレーニングは、これからさらに隆盛する可能性もあると思われます。

そんな中、トレーナーを志す方もこれからさらに増えてくるでしょう。この状況は私が就職活動をしていた20代(数十年前)には想像もできなかったことです。

【春の筋活超入門】の最終回である今回は、パーソナルトレーナーという職業を目指す方々に向けて私なりのアドバイスをさせていただきたいと思います。

まず5~10年くらいはジムの職員として指導実績を積み、その後にトレーナーとして独立するのがいいと思います。

トレーナーの資格にはNESTA、NSCA、JATIなどいろいろあるので、勉強してそれを取得するのも大切だと思います。独立する際に有効になるでしょう。ただ、資格以上に重要なのが現場での指導経験。治療業界にも言えることですが、やはりどれだけの人の体を知り、どれだけの成果を出してきたかが、その人の証明書になるからです。資格を持っていればクライアントが来てくれるわけではありません。これからは競争も激しくなってくるので、なおさら実力主義の世界になると思います。

もうひとつ、重要なのはヒューマンスキル。たとえば、トレーニングの指導が上手でもコミュニケーションが苦手な人と、コミュニケーション能力が高くて指導が得意でない人がいたとしたら、おそらく後者のほうが集客力は高いでしょう。「この人といたら楽しい、面白い、気分がいい」と思ってもらうことも、クライアントから選ばれる大きなポイントになります。その点、トレーナーは人気商売とも言えるのです。

実際、成功しているトレーナーは、トレーニングの知識以上に人間性に優れている場合が多いと思います。サラリーマンと同じように礼儀や気配りができる人のほうが好まれる傾向がありますし、長続きすると思います。筋肉を鍛えて体が大きくなると態度まで大きくなってしまう人がいますが、それではトレーナー業はうまくいかないでしょう。

クライアントの総数は今後も増えていくと思いますが、同時にトレーナーの数も増えていきます。その中で集客ができるトレーナーになるには、指導経験の積み上げと自分磨きが必須ではないかと私は思います。


大長武史(だいちょう・たけし)
1968年1月17日生まれ。1993年にスポーツクラブでトレーナーデビュー。1996年にはボディビルMr.サンプレイ新人の部優勝、東京都ボディビル選手権新人戦70kg級準優勝の成績を残す。2000年から本格的にパーソナルトレーナーとして活動を開始。GOLD’S GYM公認パーソナルトレーナー、NSCA CPT パーソナルトレーナー、日本ボディビル連盟公認一級指導員などの資格を取得。2002年より、しんそう療法(治療術)を学びはじめ、智聖流野口整体、仁武会活法療法、BHS療法(手技療法、エネルギー療法、催眠療法)も習得。パーソナルトレーナーと治療術家の二刀流で活躍中。

取材・文/森本雄大