佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.42 岡崎秀哉(Sharez)前編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのは、パーソナルトレーニングジム「Sharez」を渋谷・大宮・高山で3店舗展開する岡崎秀哉トレーナー。RIZAPやFiNCといったフィットネス・ヘルスケア業界で注目を集める企業の創成期に関わってきた経験も持つ、その歩みから紹介していきます。

“フィットネス業界のユーティリティプレイヤー”

こんな異名を持つ岡崎秀哉トレーナーは、渋谷、大宮、高山の3店舗を展開するパーソナルトレーニングジム「Sharez」の代表であり、トレーナーとしてもフル回転。フィットネス業界のセミナーにも多数登壇し、地元の岐阜では部活動などのスポーツ指導にも取り組み、地域のスポーツ振興にも携わるなど、バイタリティーに満ちた活動を続けています。

 

そのバイタリティーは子どもの頃からで、学生時代はさまざまなスポーツに親しんできました。水泳、野球、陸上競技(混成種目)、自転車競技、スキー(アルペン、クロスカントリー)と、幅の広さには驚かされます。なかでも大学時代に取り組んだセパタクローでは、将来につながるような経験ができたと言います。

 

「大学でセパタクローを始めたのですが、このときの活動の経験は大きかったと思っています。本場のタイに行ったり、代表選手と関わったり、競技を広めるための活動を手伝ったり。それまでにスポーツは競技をやるだけでしたが、セパタクローは日本ではマイナーであるがゆえ、他の競技とは違いました。試合や練習で遠征をするにも大学からお金が出ないので、どうやって効率よく試合に出ていくかを考えたり、競技をPRするために代表選手とのイベントを企画したり、バックボーンとして大きな経験になりました」

 

スポーツに関わる仕事をしたいと考えていた岡崎さんは、大学卒業後フィットネスクラブに就職します。

 

「スポーツに関わる仕事といえば体育の先生以外の選択肢を知らなかったのですが、就職活動でいろいろ調べて、インストラクター業を知りました。実際、フィットネスクラブに就職して、インストラクター業+レッスンプログラムの編成やアルバイトの採用・教育などの管理営業を担当していました」

 

希望の職種に就いた岡崎さんは「楽しくて誰よりも早く出社して誰よりも遅く帰っていました」というくらい精力的に勤務。そうしたなか、インストラクターでなく、パーソナルトレーナーの存在を知ります。

 

「当時は公共の体育施設でフリーのパーソナルトレーナーさんが一般の方に結構教えていたんです。そこでパーソナルトレーニングの需要が一般の人にもあることを知って、これは面白そうだなと思いました」

 

バイタリティーに溢れる岡崎さんは、すぐに行動に移します。インターネットで見つけた経験豊富なベテラントレーナーに師事してトレーニングのイロハを教わり、2012年に勤務していたフィットネスクラブを退社して独立します。フリーのパーソナルトレーナーとして活動を開始して間もなく、同年2月に1号店をオープンしたRIZAPでも活動することになりました。

 

「RIZAPの初期の頃で当時は体育大学出身者などの専門的な知識を持っている方がほとんどいなかったこともあり、結構早い段階で教育担当になって新しいプログラムを考えたり、研修でトレーナーさんに教えたりしていました。当時は採用も多く、研修していない日がないくらいでした」

 

他にもFiNCではダイエットの家庭教師という当時のサービスのアドバイザーとして、オンラインの運動プログラムや食事のプログラム作成をサポート。同時にフリーのパーソナルトレーナーとしては銀座、田町、半蔵門のジムや駒沢運動公園体育館、ザ・リッツ・カールトン東京のフィットネスセンターなどで活動。ロードバイクで移動しながら、休む間もなくパーソナル指導にあたっていました。

 

「この期間の休みはほぼなかったです。やり甲斐とか大それたことではなくて、単純に今まで経験したことがない経験ができるのが楽しかったし、求められていることはやりたいという気持ちだけでした」

2015年、岡崎さんは自身が代表を務めるパーソナルトレーニングジム「Sharez」を設立します。これはお客様が増えすぎたことにより、移動しながらセッションをしていくのが限界を迎えたことが理由。自分が行くのではなく、来てもらうという形にしたものでした。

 

「当初は個人事業のトレーナーさんを集めたジムにしようと思っていたので、いろいろな個性が集まって究極の形のサービスができたらという感じで名前をつけました。分けるという意味のShareにドラゴンボールZじゃないですけど、究極の最終形態という意味で“Z”をつけて」

 

代表としての立場はあるものの、一人のトレーナーとしても進化し続ける岡崎さんの理想は、「幅広い指導ができるトレーナー」。

 

「せっかくトレーニングを始めた人には長く続けていただきたいと思っています。たとえばお客様がダイエットという最初の目的を達成したとしたら、その後も続けるためには違う理由が必要です。そうしたものを提供できるトレーナーでありたいですし、だからこそ初心者の指導からハイレベルな指導まで、幅広い指導ができるトレーナーでありたいなと思っています」

 

昨年、地元の岐阜県高山市にジムをオープン。これは地元への恩返しという意味合いもありつつ、自分が考えるパーソナルトレーニングジムの理想形となりうるロールモデルだと自負しています。

 

「地方の学校は施設が古かったり、指導者がいなかったり、いくらSNSの情報があると言っても限界があります。そうした田舎の学校のスポーツ指導をしたり、企業の健康経営のサポートをしたり、子どもの運動指導をしたり、地域の方々の健康づくりやスポーツ振興においてなくてはならない存在を目指すという形が一つの理想なのかなと考えています」

 

その土地に根づいてのスポーツ振興や健康寿命の延伸に尽力すること。岡崎さんはスポーツには人々を元気づける、活気づける力があると思っているからこそ、パーソナルジムを軸に地方を盛り上げていこうと考えています。

 

「こういう仕事はまずは人が大事。将来、地元でスポーツ・フィットネスに関わる仕事をしたいという人を採用、育成して、将来的に地元に帰ってジムを出して地域のスポーツ振興に関わってもらえるのが理想です。岐阜のモデルをいろいろな地域に展開していっていけたらと思っています」

 

目指すのは岐阜モデルの東京逆輸入やさらなる店舗の拡大。理想に向かって歩み続ける岡崎さんのノンストップの日々は、まだまだ続いていきそうです。

 

というわけで、今回はここまで。次回は実際のパーソナルトレーニングを体験させていただきます。

 

【トレーナーPROFILE】
岡崎秀哉(おかざき・ひでや)
1987年生まれ。ビーサバイ株式会社&Sharez株式会社代表。鹿屋体育大学卒業後、フィットネスベンチャー企業へ。2012年に独立して「RIZAPプログラム開発&教育担当」や「FiNCアドバイザー」としても活動。2015年に「Sharez」を立ち上げ、現在は渋谷、大宮、高山の3店舗を展開。トレーナー業やジムの店舗展開だけでなく、メディア出演や多数の事業経験を持ち、1人何役もこなす、フィットネス業界のユーティリティプレイヤー的存在。
〔保有資格〕
NCSA-CPT/NSCA-CSCS/NASM-PES/健康運動指導士/NESTAスポーツパフォーマンススペシャリスト/JSPO子ども身体運動発達指導士/JSPOスポーツコーチングリーダー/JTTMAタイ古式マッサージセラピスト/健康経営アドバイザー/保健体育教員免許
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【パーソナル情報】
パーソナルトレーニングジム「Sharez」
〈住所〉
渋谷店=東京都渋谷区松濤1-29-15
※大宮店、高山店はHPを参照。
〈料金〉
■入会金:無料
■月会費:5,400円
■トレーニング料金(1回60分)
5,000円~8,000円
※トレーナーによって異なります。HP参照。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。