佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.42 岡崎秀哉(Sharez)後編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回は岡崎秀哉トレーナーの後編。年齢とともにケガもしやすくなっている佐久間が、効率よく、かつ安全にトレーニングをできるように、アドバイスをいただきました。

まずは私が抱える体の問題やトレーニングの頻度、目的などのカウンセリングをしたのち、体の状態のチェックからスタートします。できるだけヒジを高い位置で保ち、オーバーヘッドスクワットおこないます。

深くしゃがみ込むことはできているものの、肩関節の硬さや胸椎の伸展の出づらさが見られるとのこと。

今度は仰向けになってバンザイをします。続いては立てヒザにして腰に隙間ができないようにバンザイ。四十肩を患った右肩が上がりづらくなっているのがわかります。

体の状態のチェックを終え、コンディショニングへ。右肩をケアしてから同じように仰向けでバンザイをすると、やや硬さは残るものの、窮屈感はなくなりました。

次に、胸椎の状態をチェックするべく、キャット&カウで胸椎の柔軟性を確認します。反りのほうに難点ありです。

フォームローラーを使って胸椎の動きが出やすいようにしていきます。最初は肩甲骨の下にフォームローラーがくるようにセット。立膝の状態で腰部の反りが出づらいように調整し、手は肋骨の下部あたりにおいて、お尻はついたまま肩を床に近づけるようにローラーを転がします。次は肩甲骨上にフォームローラーを乗せて両手バンザイ。同じようにローラーを転がしながら親指を地面に近づけるようにします。

続いては四つ這いの姿勢から肩甲骨と肋骨を分離させて動かすという、少し難しい動き。ヒジは伸ばしたままで、肩甲骨は残して肋骨をストンと落とします。ポイントを教えてもらいながら、肩甲骨と肋骨を分離させて動かしてみます。難しい!

コンディショニングを終えて、再度オーバーヘッドスクワットでチェック。右肩はややきつそうではありますが、最初と比較すると手をしっかり残して、背中のラインを保ってスクワットができていることがわかります。

「まずはこのように体を整えたほうが、動きが良い状態でトレーニングに入っていけるので、そのためのコンディショニングをさせてもらいました」(岡崎さん)

体が動ける状態になったところでケガなく、効率よく行なうトレーニングの実践編に入っていきます。まずはベンチプレスから。

ケガをしないように重たい重量を扱おうと思ったら地面の反力を使えたほうがいいということで、脚の力を使えるようにポジションをチェックしていきます。最初はバーではなくラックの柱を持って、肩甲骨を寄せた状態でお尻を目一杯上げます。このときに力がどこの方向に出ているかをチェックして、上方向に力が出るように足の位置を修正します。

最初は地面からの反力で得られる力の方向が頭方向にいきすぎて力が逃げていたのに対して、足の位置を修正することで、バーを持ち上げる方向へと力が働くようになります。

足の位置を注意しつつ、ラックアップの際の注意事項も。バーベルを上げるときにヒジを伸ばして高く上げ過ぎると、肩が前に押し出されて、肩甲骨の寄りが外れてしまうので注意です。

「足の位置、胸の作り方、スタート時のセット、外したときに肩甲骨が外れないこと。こうしたところがバシッと決まると、重量が上がっていっても安定してできると思います」(岡崎さん)

ベンチプレスに続いてはスクワットです。最初にバーを乗せる位置をチェックしていきます。

手の幅をやや狭く、ヒジを上げて、バーを乗せる背中部分を安定させます。この形を崩さずに動作に入っていきます。

実際の動作では、バーベルの重心線と自分の重心線がズレ、前に重心がいきがちでした。レスリング選手時代はつま先重心で前方向に力を出す動きを繰り返していたため、体に癖がついているようです。「これを真っすぐコントロールできると重量もあがるし、腰への負担も軽くなるので、ここを改善していきましょう」(岡崎さん)

重心のコントロールを身につけるべく、ボールを体の前に持ってのスクワットです。ここでは重心のコントロールと合わせて、自分の現在の状態に合った足幅をつくっていきます。

「骨盤が少し後傾しているので最初の足幅だとやりづらさを感じました」という岡崎さんのアドバイスで足幅を少し狭くし、つま先の向きを調整してトライ。ボールを持っていることで重心が真っすぐのまま立つことができます。

この足幅、この重心コントロールのイメージを持って再度スクワットを行ないます。

最初よりも重心が安定しています。全体の重心は安定したものの、染みついたつま先重心から、かかとで押せるようにするために、重量を落としてバーだけを背負って足の重心を確認します。

「母指球、小指球、かかとの3点に均等に体重を乗せて、トータル的に真ん中に乗っていればいいです。靴紐の結び目あたりに体重が乗るイメージです。この体重が乗った状態を動作中も変えずに、下ろして、上げるようにしましょう」(岡崎さん)

これらを踏まえて再度スクワットを行ないます。

だいぶ重心が安定してバーベルの軌道も修正されました。「腰への負担も減りますし、重量もあがりやすくなると思います」(岡崎さん)

「普段やっているトレーニングのプラスになることを伝える、より効率よく動く、安全に動くということを今回はお伝えさせてもらいました」と岡崎さん。ベンチプレス、スクワットともに体の負担を減らしつつ、重量を扱うためのポイントを教わることができました。

というわけで、今回はここまで。岡崎さん、ありがとうございました。

【トレーナーPROFILE】
岡崎秀哉(おかざき・ひでや)
1987年生まれ。ビーサバイ株式会社&Sharez株式会社代表。鹿屋体育大学卒業後、フィットネスベンチャー企業へ。2012年に独立して「RIZAPプログラム開発&教育担当」や「FiNCアドバイザー」としても活動。2015年に「Sharez」を立ち上げ、現在は渋谷、大宮、高山の3店舗を展開。トレーナー業やジムの店舗展開だけでなく、メディア出演や多数の事業経験を持ち、1人何役もこなす、フィットネス業界のユーティリティプレイヤー的存在。
〔保有資格〕
NCSA-CPT/NSCA-CSCS/NASM-PES/健康運動指導士/NESTAスポーツパフォーマンススペシャリスト/JSPO子ども身体運動発達指導士/JSPOスポーツコーチングリーダー/JTTMAタイ古式マッサージセラピスト/健康経営アドバイザー/保健体育教員免許
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【パーソナル情報】
パーソナルトレーニングジム「Sharez」
〈住所〉
渋谷店=東京都渋谷区松濤1-29-15
※大宮店、高山店はHPを参照。
〈料金〉
■入会金:無料
■月会費:5,400円
■トレーニング料金(1回60分)
5,000円~8,000円
※トレーナーによって異なります。HP参照。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。