引退前に初期メン集結! 東京女子とスターダムの奇跡的融合と角田奈穂が語るアクトレスガールズのトレーニング




7月に引退を控える女子プロレスラー・角田奈穂が、主戦場とする東京女子プロレスの全面協力により、7月6日(土)東京・新木場1st RINGにてプロデュース興行『CROSS』を開催する。メインイベントでは、角田が本間多恵(フリー)とタッグを組み、安納サオリ&なつぽい(ともにスターダム)組と対戦。初期のアクトレスガールズ(以下アクト)を見てきたファンにはたまらない豪華カードの実現となる。

【フォト】同期4人での集合写真や会見ショット

角田、本間、安納、なつぽい(当時は万喜なつみ)ともアクトの初期メンバーで、全員が2015年5月31日に新木場でデビューした。5月20日に行なわれた発表会見ではこの4人が出席し、これまででは考えられなかった4ショットが現実となった。今でもプライベートでは連絡を取り合うという4人だが、東京女子とスターダムは交流がなく、選手の行き来や対抗戦となるカードがもっとも考えにくい団体同士だ。しかし、引退を選択した角田の強い要望により、スターダムも快く選手を派遣、アクトの同窓会的試合が団体の枠を越えて行なわれるのである。

アクトは「女優によるプロレス」をコンセプトに旗揚げしたユニークなプロレス団体。スタートから数年はプロレスと認められないとの声も多かったが、だからこそ選手は発奮。結果的に多くの女子レスラーを輩出してきた。21年末にプロレス団体としての活動を終了し、リングを使ったエンターテインメントに移行したものの、今では主要団体のほとんどでアクト出身者が試合をし、しかもトップクラスで活躍している。このカードを闘う4人はそんな初期のアクトを支え、プロレスラーの道を継続させた選手でもある。

とはいえ、当初は全員が決してプロレスラー志望ではなく、むしろプロレスをまったく知らないところからトレーニングを開始した。まさに先の見えない手探り状態。このカードを提唱した角田は、スタート当時を以下のように振り返る。

「最初の頃はどちらかというと根性論的な練習が多かったですね。手つなぎスクワットといって、全員で輪になって手をつなぎ数えながらやるんです。声が小さかったら『声を出して!』と叱咤したり、上がれなくなった人がいたら引っ張り上げたり。また、3分間ノンストップのロープワークとか、受け身の30連発とか。そのときからサオリやなつみは運動神経がよかったから何でもできて、多恵も体力あるからしっかりついていけたんですよ。だけど私は落ちこぼれで、みんなに『ガンバレ!』『ガンバレ!』と励まされてなんとかついていくタイプでしたね。プロレスの技ができるようになるためには、まずはこういうことが必要なんだと思いながらやっていました」

左から本間多恵、角田奈穂、安納サオリ、なつぽい

しかしながら、中には「私はいったい何をやっているんだろう?」と疑問を抱く練習生もいたのではないか。先輩レスラーのいない中での練習。基本的に手本はなく、「女優によるプロレス」は見えてこない。また、芸能活動と並行してのトレーニングも負担になったことだろう。

「そこで疑問を感じた子たちはやめていきましたね。プロレスラーになりたくて団体に入門しデビューしている他の団体の方にどう映るのかはわからないけど、私たちは私たちなりの歩み方でプロレスラーの仲間入りをしたっていう感じですね」

しだいに他団体での実戦経験を増やし、ベテラン選手を招聘しての練習も多くなった。そしてデビューから3年半後、プロレスの聖地と言われる後楽園ホールにアクトが初進出。

「会場は満員になりました。それでもまだ、否定的な意見もありました。女優がプロレスの真似事をしてるっていう声もあって、なかなか受け入れられなかったです。でも、今となってはアクトから巣立っていった子たちがメチャメチャ活躍してるじゃないですか!」

初の後楽園大会でシングル王者となった安納は19年12月にアクトを退団、フリーとなった。この年の初めにはすでに万喜が東京女子に戦場を移していた。万喜がなつぽいに改名し20年10月からスターダムに参戦すれば安納も昨年4月に合流し、スターダムの選手となった。本間はアクトがプロレス活動を終えるまで所属。このときは負傷欠場中だったが、復帰してからはフリーとしてさまざまな団体に参戦しており、メキシコを皮切りにアメリカ、ヨーロッパなど海外での試合も増えている。そして今大会の主催者として同期を招聘する角田は20年10月にアクトを退団し、翌月から東京女子で闘うようになった。俳優としての活動も継続しており、プロレスとの二刀流をこなしている。

この4人が同じリングに立つのは、18年12・20新木場での安納&角田組vs万喜&本間組以来、5年半ぶりとなる。それだけに、今ではリング上の同期を知らない時間の方が長くなった。だからこそ、角田は初期メンの現在を知ることでけじめをつけ、東京女子で成長した姿を見せたいという。

「それぞれが今、第一線でバチバチの試合をして、ベルトを巻いたりしてますよね。そういった状況をわかったうえで、やっぱり最後はこの4人で試合をして楽しかったと思いたい。まあ、どんな結果であれ楽しくなることは間違いないんですけど、正直、離れていた時間が長くなってしまったので不安もあります。でも、今のこの4人がリングで揃ったらどんな色になるんだろうって思うんですよね。サオリなんか普段はクールだけど、この4人が揃ったらまた違う一面が出るかもしれないし、私だって東京女子に来て成長した姿を見せたいですよ。同期の中でビリッケツでポンコツだった私がこれだけ成長したよって。離れてから歩んできた道がみんな全然違うので、そこを出せたらいいのかなと思いますね」

俳優とプロレスの二足の草鞋を履く角田が演出する夢の空間。ひめか(有田ひめか)が第1試合のレフェリー、播磨佑紀(相羽あいな)がメインのリングアナウンサーを務めるなど、特別ゲストも角田プロデュースならではの顔ぶれだ。思い出の地・新木場で、アクトの原点を感じよう。

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