プロレス好きが高じ、芸能界からプロレスラーに転向。2018年8月にプロレスデビューをはたしたのが白川未奈だ。現在は日米をまたにかけた活躍を本格的にスタートさせており、国際的な飛躍も期待されている。
もともとスポーツ経験はなかったという彼女は、プロレスデビューを飾ってからさまざまなトレーニングに着手。内容は体の軸を鍛える打撃形式の練習や、柔術や格闘技の練習をプロレスに応用したり、見せる体をつくるボディメイクを行なったりと多岐にわたる。ジムに行けるときは毎日行くようにしていると話すように、意志の強さは折り紙付きだ。
とはいえ、地方巡業に出たときなどは練習場所や練習量も限られる。そんなときにはどう対処しているのだろうか。
「巡業中も(ジムには)行きます。でも、無理なときには(ホテルの)部屋でトレーニングするんですよ。たとえばメイク道具のボックスを持って背中のローリング。ペットボトルを持ってサイドレイズとか。あるものを利用して鍛えることは全然できるんです。わざとエアコンをつけないで1時間くらい、汗だくになるまでやりますね。アップしきって疲れたくらいの状態で試合をしたほうが、私は調子がいいんです(笑)」
このところ海外での活動も増えてきた白川。アメリカAEWのリングにも上がるようになり日米を往復する機会が今後さらに多くなりそうだが、時差もあるだけに、体調管理も大変だろう。
「太りやすいので、食事には気を遣わないといけないですよね。私の場合、プロテインバーとか、食べ慣れている低糖質のパンとかを日本からたくさん持っていきます。あと、アメリカではオートミールがたくさんあって、体を調整したいときにはそれを主食にしています。日本ではあまり種類がないんですけど、アメリカにはいろいろな味があるし、水とお茶漬けの素をいれてチンすると、かさがけっこう増してお腹いっぱいになるんですよ。なので、現地のスーパーでオートミールをたくさん買って、これしか食べないと決めるんです(笑)。夜ご飯に誘われたら行くけど、それ以外はこれしか食べないと決めるのがコツ。オートミールだけと言っても、味はいろいろあるので大丈夫ですよ。あとは食べたものを全部記録して、カロリーコントロールします」
国内外問わず、プロレスにはシングルマッチやタッグマッチなど、さまざまな試合形式がある。現在、白川はアーティスト・オブ・スターダム(6人タッグ)チャンピオン。3対3で闘う試合の王者でもあるのだ。試合形式によってトレーニングも変わってくるのか。個人差もあるだろうが、白川はどのように準備しているのだろうか?
「意識の問題にはなると思うんですけど、シングルのタイトルマッチが控えていると、誰かと外食に行くことはなくなりますね。メッチャ集中してお酒も飲まない。ふだんはストレスにならない程度に飲むけど、タイトルマッチ前に飲んだらダメなような気がするし、飲むと次の日のトレーニングの質も悪くなる気がするんですよね。なので、シングルのタイトルマッチがあるときは自分をとことん追い込みます。お酒も抜くし、食事はクリーンに。脂質をなるべく取らないようにしてタンパク質や糖質に気をつけます。ふだんから低糖質の食事にしていて、トレーニングの強度は下げないで体を絞っているんですが、タイトルマッチの前日にはあえて糖質のものをメッチャ食べるんです。なぜなら、そのほうが筋肉が張ってパワーがガツンと入るので。気分的にも上がりますし。タッグは、シングルとはまた違いますね。(リングへの)出たり入ったりが多いので、意外と脈の上がり下がりが激しいです。シングルだと自分のペースで運びやすいけど、タッグだとパートナーが危ないときに助けに入ったりとか。そういう心拍数のアップダウンがあるので、それに備えるためにランニングマシンでトレーニングします。傾斜をつけて、ダッシュしてウォーキングしてを繰り返す。1分走って1分歩くって感じで、これを20分くらいやりますね。最後は速足くらいのウォーキングで、ヘトヘトになりますよ。これがタッグマッチに向けての準備になります。シングルのほうが疲労はあるけど、息が乱れるのはタッグとか6人タッグマッチなんです」
体づくりや打撃&格闘技の練習を含め、白川のトレーニングすべてはプロレスの試合を想定して行なわれている。しかも時差のある海外や試合形式など、状況に応じて具体的に対応していくのが、ちゃんみな流。コンディションのよさは、彼女の試合を見るたびに伝わってくる。