7月初旬にモンゴル・ウランバートルで開催されたIFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)主催のアジア選手権にて、ボディビル65kgを制した下田亮良(りょうけん)。現在26歳、メキメキと実績を伸ばす彼に、大会を振り返ってもらった。
――アジア選手権は7月開催ということで、秋に国内大会が集中する中で、例年より早めのステージとなりました。調整の難しさなどはありましたか。
「モンゴルは自分にとっては初めての国で、かつ先進国とは言えない地域なので、ちゃんと食料を確保できるのか、自分の体に合うのか…という不安がまずありました。仕上がりが間に合うのかという心配もゼロではなかったですが、そもそもオフシーズンにそんなに脂肪を乗せることなく減量幅も4~5kgなので、調整の難しさはそこまで感じていませんでした。何よりも、せっかくJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)からお声掛けいただき日本代表に選んでいただいたので、ベストを尽くそうと思って臨みました」
――出場する大会が増えることによる、仕上がりへの影響は。
「当然、連戦が続くと疲れは感じますが、一度ステージに上がっておくほうが次の大会でより良い仕上がりになる感覚があるので、そうした狙いもありました」
――アーノルド・クラシック・ヨーロッパ2023(11月、スペイン)に続き、ボディビル65kg以下級で優勝でした。アジアの舞台での戦い終えての感想は。
「実は、大会直前の検量終わった後のリカバリーで羊か何かの肉を食べたのですが、どうもその肉の脂が体に合わず…。ずっと下痢をしてしまって、当日もステージ直前まで何度もトイレに行くような感じだったんです。まさに不安的中ですね。それによって頭痛や脱水症状もあり、体はパンプするのですが、いつもの全然違う感覚で。終わったらすぐに冷めてしまうような感じで、コンディション的にはまったく良くなかったですね」
――それでもステージではしっかりと評価されたのは、どんなところだと思いますか。
「自分で言うのもあれですが、僕はステージ映えする体なのかなと思っていて。実際、バックステージで海外の選手を見ると『デカいなぁ』っていう選手はたくさんいて、彼らも僕をなめた目で見ている感じはするんです。でもステージ立つと、審査員や観客の方からは僕のほうが良く見える。自分の体の特徴として細い部分がしっかり細く、昔から剣道をやっていたこともあって、体軸のコントロールが得意なんです。そのあたりで、違和感のない、自然できれいなポージングにうまくつなげられているのかなと思います」
――国内大会では昨年、日本クラス別選手権(体重別の日本一決定戦)の65kg以下級で2位。そこでの優勝、その先の日本選手権が次の目標かと思います。そこに向けて今年は、どんな準備をしてきましたか。
「昨年のアーノルド・クラシックが終わった後にオフに入ったのですが、実はその直後に、右の肩甲骨や僧帽筋を支配する神経をちょっと痛めてしまいました。肩甲骨を寄せることができず、ベンチプレスや背中のトレーニングができない状態になってしまいまったんです。加えて、現在も股関節を故障しており、思うようにスクワットができていません」
――故障が重なってしまったんですね。
「ただ、そういう中でもやれることを探してトレーニングは続けてきました。来年どうなるのかという心配はありましたが、動作に制限があるのであれば、別のやり方で効かせてみよう、伸ばせる部分を伸ばしていこうと切り替えました。ある意味で、怪我をしなければできなかったようなアプローチができたオフだったと捉えています。気持ちの面でも成長できたと思いますし、やれることを全力でやっていければ十分に戦える体をつくっていけるという実感も得られました」
――9月の日本クラス別選手権(静岡)、そして10月の日本選手権(大阪)での活躍を期待しています。
「ありがとうございます。9月末には、IFBB男子世界選手権がイランで行われますが、そこへの出場希望も出しています。もし選出されることになったら、チャンスを無駄にしないように、期待に応えるステージを見せたいと思います」
(続く)