佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.43 沖津翔太(EAGLE BASE)




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのは、都内を中心に13店舗を運営する「EAGLE BASE」代表の沖津翔太トレーナー。さまざまな資格を持ち、どんなお客様に対応可能なマルチな沖津トレーナーの歩みを紹介していきます。

 

独立から4年、ジムのオープンから3年、沖津翔太トレーナーは、現在都内を中心に13店舗を運営する経営者としても敏腕を振るうパーソナルトレーナーです。

 

学生時代はサッカーやアメリカンフットボールに親しんできた沖津さんは、将来的な進路として“トレーナー”を目指して、体育大学へと進学します。当時は一般の人を相手にするパーソナルトレーナーが、それほどポピュラーではなかったこともあって、仕事にするならアスレチックトレーナー、もしくはストレングストレーナーと考えていました。

 

「ストレングスコーチを目指して実習に行って勉強もしていましたが、いざ就職となると就職先がほとんどなかったんです。そこで大手のフィットネスクラブも受けてみたら受かって、そこに就職することになりました」

 

この大手フィットネスクラブに就職した沖津さんは、10年間勤めるなかで、スタジオレッスンやパーソナルトレーナー業務、最終的には管理職としてマネジメントを担当するまでになっていきました。

 

「大手は長く勤めれば勤めるほど収入も良くなりますし、責任や立場もあって辞めにくくなります。実際、退社するのは大半が20代です。10年間の中で自分も何度か辞めようと思うことはありましたが、考えているタイミングで転勤があったり、自分の覚悟が決まってなかったりで、結局10年勤めたという形です」

 

長く勤務すれば辞めにくくなるにもかかわらず、沖津さんが退職を決意したのは「やり切った気持ちが大きかったから」だと言います。ここでできることはすべてやったという思いから、新たな道に挑む決断をしました。ところが、ちょうどコロナ禍と重なり、苦しい日々を過ごすことになってしまいます。

 

「最後は浜松の店舗に勤めていて退社して東京に戻ってきました。フリーのトレーナーとして五反田のジムで働くことになったのですが、2020年のちょうどコロナが流行し始めたときで、お客さんが全然来なくて収入がなくて苦労しました。24時間のジムでバイトもしましたが、フロアの掃除をしたり、監視カメラをチェックしたり、仕事は楽かもしれないいけど、これはトレーナーの仕事ではないと思いましたし、時間を浪費するのが嫌でした。どうせ苦労するなら、自分のやりたいことをやって苦労したいと思って、自分の店舗を持つことを決めました」

 

こうして沖津さんは2021年に1号店となる武蔵小山店をオープン。大学時代のアメフトのチーム名「ファルコン」と同系統の「イーグル」、さらに「基地」の意味であり、体や人生の「土台」という意味にもなる「BASE」を組み合わせて「EAGLE BASE」と命名しました。

沖津さんは大手フィットネスクラブ時代から自身のスキルアップに熱心で、介護予防運動士やJCCAベーシックインストラクター、ViPRインストラクターなどの資格を取得。さらにジムに通っているお客様が妊娠した際には、マタニティトレーニング資格であるプレグナンシーボディーワーク指導者の資格を取得しました。「まずはお客様ありき」という考えが、沖津さんのトレーナーとしてのモットーです。

 

「トレーナーってお客様がいるからこそトレーナーでいられるんです。たとえば無人島にいるとして、お客様がいなかったら、ただ体に詳しいだけの人ですから。トレーニングを提供するお客様があって初めてトレーナーなので、何よりそこを大事にしたいです」

 

別枠に記載の通り、沖津さんは数多くの資格を取得しています。これは知識マウントを取るためでも、自尊心を満たすためでもなく、「すべてはお客様のニーズに応えるため」だと言います。

 

「コミュニケーション能力の高い人はそれはそれですごいと思うし、知識が豊富な人も素晴らしいし、説得力のあるムキムキな体の人も一つの商品価値だと思います。そういう得意なジャンルがあるのはいいことですが、自分ありきの考えにならず、お客様が何を求めているかに対応できることが大事だと思います。オールジャンル100点満点のトレーナーはいないと思うので、お客様の要望に対して100点に近い回答をできるトレーナーが理想のトレーナーですね」

 

前述の通り、現在13店舗を経営する沖津さんは、こうしたモットーのもと、トレーナーの育成にも励んでいます。育成法として、ロールプレイングを用いた実戦式というのがなんとも面白いところです。

 

「座学は基本的に自分で勉強してもらっています。みんな資格を持っていても、いざセッションでお客様と対峙したときにボロボロになってしまうというケースもあります。そこでモニターのお客様を募集して実際にセッションをします。リアルなお客様を相手にしたときにイレギュラーが発生するかもしれないですし、アルバイトとして仕事でモニターをやってくれるお客様からは良いフィードバックをもらえます。実際に僕が全店舗を回ってセッションをチェックしています」

 

トレーナー、ジム経営、トレーナーの育成と仕事の幅が広がっていくなか、店舗の増加よりも、できることの幅を広げていきたいというのが沖津さんの今の考えです。

 

「最初は1~2店舗で職人的に自分のやりたいことを突き詰めていこうと考えていましたが、いざ店舗が増えてくると自分だけの人生ではなくなってくるので責任もあります。この先、結果的に増えることはあっても、意図的に店舗を増やしていきたいとは考えていません。それよりもスポーツクラブへのトレーナーの派遣であったり、アスリートやスポーツチームに関わることだったり、地方への暖簾分けみたいなことをやっていけたらと考えています」

 

店舗が増えればセッションをできるお客様の数が増える。トレーナー派遣をすれば自身のジム以外でもお客様への対応が可能になる。アスリートやスポーツチームへの支援、地域のスポーツ振興にも尽力したい。こうした沖津さんの考えは、すべてお客様のため。トレーナーになったときからの変わらない思いが、沖津さんとEAGLE BASEの躍進を支える原動力となっています。

 

というわけで、今回はここまで。次回は実際のパーソナルトレーニングを体験させていただきます。

 

【トレーナーPROFILE】
沖津翔太(おきつ・しょうた)
2010年に体育大学を卒業後、大手スポーツクラブに入社。パーソナルトレーニング業務やスタジオレッスン、クラブのチーフマネージャー職務を務めるなど、10年間勤務。2020年に独立し、2021年にパーソナルトレーニングジムEAGLE BASEを開業。現在は都内を中心に13店舗を運営する。
〔保有資格〕
NESTA-PFTPHI Pilates Mat Ⅰ・Ⅱ/PHI Pilates Reformer Ⅰ/プレグナンシーボディーワーク指導者(マタニティトレーニング資格)、介護予防運動士/イージーフロッシングLv1/赤十字救急法救急員/ViPRインストラクター/TRX-STCJCCAベーシックインストラクター/第二種衛生管理士/第一種中・高保健体育教員免許

【パーソナル情報】
EAGLE BASEパーソナルトレーニングジム
〈住所〉
武蔵小山店=東京都目黒区目黒本町4-3-14 ミチノサキ5F
※その他の店舗はHPを参照。
〈営業時間〉
月~金:9:00~23:00
土日祝:8:00~22:00
〈料金〉
■入会金:30,000円
■コース料金
トライアルコース:77,000円/スタンダードコース:136,000円/ゴールドコース:186,000円/ダイヤモンドコース:240,000円/プラチナコース:349,090円/月4回プラン(※コースセッション32回終了後に利用可能)29,000円
※そのほか無料体験などはHP参照。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。