感謝と悔しさがいっぱいのアジア選手権最終日【廣中れなのモンゴル滞在記(DAY5)】




読者のみなさま、こんにちは。JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)でビキニフィットネスに出場しています、廣中れなです。

7月6・7日の2日間、モンゴル・ウランバートルで開催された「2024 IFBBアジア選手権」に出場させていただきました。ここでは、移動から現地滞在を含む5日間について日記をお届けしています。今回は最終日、ビキニフィットネスの試合についてです。

【フォト】モンゴルでのビキニステージやオフショット集

朝3時に起床し、メイク道具など必要なものをすべて持ちすっぴんで3時半にロビーに向かいました。サロンの車がすでに到着しており全員集合した後、車を走らせること30分。古いビルに到着し、エレベーターで3階へ行きました。

暗いし古いし、さらわれたような感覚を味わいながら、明かりのほうへ行くとすでに海外の選手がヘアセットされていました。私は5時スタートなので、それまでメイクを進めていました。本田(有希子)さんが先にヘアセットをしていたのですが、ストレートなので予定よりも早く終わり、4時40分から私のヘアセットがスタートしました。

(スタイリストさんに)セットしてほしいヘアスタイルの画像を見せると、巧みにヘアアイロンやスプレーやオイルを髪に振りかけていきます。ここで驚いたのが、私はセンター分けのカール強めでオーダーしたのですが、ストレート用のアイロンですごく綺麗なカールを作り出していくんです。この技術はさすがプロだなと感心しました。

とはいえ、前髪も後ろ髪の生え際も思った以上にもっこりセットされ、なんだかカツラをかぶっているような仕上がりに(笑)。ホテルに戻るまでスタイリストさんも一緒なので、本人を目の前にヘアスタイルを直すことも気が引けてしまい我慢していましたが、スタイリストさんと別れてから急いでもっこり頭を直しました。

7時にホテルに到着し、朝食会場へ。前日の夜に確保したものもあるのでサラダとヨーグルトを食べ、コーヒーを飲んでデザートのケーキを2つ部屋に持ち帰りました。部屋では前の買い出し時に買っておいた韓国産のハンバーガーを冷たいまま食べたのですが、味は…(苦笑)。パンはパサパサで好みが分かれるかなって感じでした(笑)。

朝食会場から持ち帰ったケーキも食べ、日本から持ってきていたドトールのコーヒーもいただきました。やっぱり日本のコーヒーはインスタントでも断然おいしい! 8時、メンズフィジーク選手のみなさんのメイクを行ない、そのまま玄関へ移動しました。車は大きめで、後ろの席に座っていると五味原(領)くんや川中(健介)くんが「脚を伸ばせるし今日主役なんだから助手席どうぞ」と、女子選手に譲ってくれました。なんて優しい子たちなんだ! と感動です。松木(真美)さんが前に座ることになり、私たちは足が伸ばせる席に座らせていただくことに。そしてみんなで会場に向かいます。

モンゴルの方は気性が荒め(?)なのか、クラクションが夜中も朝方も構わず鳴り続けていて、いつぶつかってもおかしくないくらいのスピードと距離で車を飛ばしています。

とくに私たちが乗った車の運転手は飛ばしがちで、他のどの車よりも早く、信号を待つこともなくスムーズに会場につきました。おそらく15分くらいで着いたかな?(笑)

私の出番は最後の最後(ビキニフィットネス168cm以下級)なので、着いてからシートの上にタオルを敷いて足を上げて寝ていました。昨日大会が終わったボディビルやクラシックフィジークの選手たちは丁寧に私たちのサポートをしてくれます。

思ったよりも進行が早く、予定より早めにT-TANのカラーリングに。本来ならば、PROTANでカラーリングをする予定でしたが、前日にステージに立った選手のみなさんの様子を見て、会場の環境や照明などの関係で急遽プロに塗っていただくことになっていました。

カラーリングをし、扇風機の前で乾かしていたのですが、1人、扇風機に入れていない選手を見つけました。回っていない扇風機があったのでそちらの電源を入れ、「こっち使ってください」とご本人にお伝えして一緒に乾かします。「この方お尻すごいなー。笑顔が可愛い」とこっそり思っていました。

カラーリングを終わらせ、たまに軽食も取りながら出番を待ちます。私よりも先にみんなの出番がやって来て、観客席のほうから様子を覗いては、刺激を受けて気を引き締めていました。

いよいよ私の出番です。予選審査がないので一発勝負。私の名前が呼ばれて裏で待機していると、目の前には先ほどカラーリングの部屋で一緒にいたお尻のすごい選手が……。背中もコンディションも良いし、相変わらず笑顔もかわいい。「きっとこの子と1位、2位を争うんだろうな」と勘付きました。

五味原くんや川中くんがオイルを、下田(亮良)くんがパンプをメインに手伝ってくれました。3人ともお疲れの中なのに、本当に丁寧に最後の最後までチェックしてくれて、感謝しながらステージに立ちました。

1stコールとかも全くないので想像できない状態で迎える結果発表。いただいた動画を見てみると、やはりカラーリングで出会った子といい勝負だなと。本当にどうなるかわからない状況でした。

6位から順番に呼ばれて、トップ3が呼ばれるタイミングで、カラーリングの子が私の腰に手を当て、身体を寄せながら3位が発表されるのを待ちました。

残り2トップで私たちが残ることがわかり、お互いに目を合わせて喜び合いました。どちらが呼ばれても良い状況の中、ドキドキしながら2位の発表。私もその子も手を強く握り合い、お互いの緊張感が伝わる瞬間です。

「JAPAN!」という声が聞こえ、私が2位だと確定! お互いに笑顔で挨拶をし、ハグをして2位の台に乗りました。とはいえ内心はとても悔しくて、みんなに申し訳ない気持ちのまま中国の国歌を聞き、3トップの写真撮影。

終わった後、優勝者の写真撮影のため私もステージをはけようとした瞬間、その子はすぐさまこちらを向き「Thank you so much!」と言ってくれたので私もお礼を言い、おめでとう! と言葉をかけました。

悔しい半面、お互いに讃え合う瞬間に幸せを感じ、複雑な気持ちになりました。ステージの階段を降りる瞬間、ギリギリまで協力してくれていた五味原くんや川中くん、下田くんが笑顔でこっちに来てくれている姿を見て一気に涙が止まらなくなりました。真っ先に、「優勝できなかった。本当にごめんなさい」と謝りました。

みんなとても優しい言葉をかけてくれて、なおさら涙が止まらず。でも感謝の気持ちで溢れていました。いろんな方にひとまず連絡を終え、会場を出なければならなかったので急いで片付けをし、バスに乗り込みました。ホテルに到着するとすぐにMAXGYMの木下(喜樹)先生に報告の電話をし、荻島さんとレストランへ。みんな疲れた表情で、いつもほど食欲もなさそうな雰囲気の中、荻島さんと私はいつも以上に食べ続けていました(笑)。さっきの涙はどこへ(笑)。

一旦外の空気を吸いたくなったので食事を終え、ホテルの出入り口で家族に電話をし、玄関前で動画を撮っていると手島(祐)くんと増原(駿)くんが外に出て来ました。行けるメンバーで外食をしようとのことで便乗させていただくことに。

計10人でモンゴルのローカルレストランでご飯を食べ、大笑いをして過ごしました。私1人でいると気持ちがどんどん沈んでしまうので、みんなの存在はとても心強かったし感謝でいっぱいです!

今回の国際大会でチームの絆、異文化を学ぶということ、いろいろな国の方との交流、出会い、友情など、大会に参加することで得られる競技上での経験値以外に、人として成長するために必要な経験値のほうがたくさん得られたのではないかと思います。

悔しい気持ちはたしかにありましたが、それよりももっと大切なことが学べたので、勇気を出して出場を決意してよかったと心の底から思います。

長い日記になりましたが、廣中れなのモンゴル滞在記はここで終わりになります。次は9月のオールジャパン選手権です。12月のIFBB世界女子選手権に無事出場できるように、まずはオールジャパンに集中していきます。

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