まさに衝撃と言っていいデビュー戦であった。FWJ(Fitness World Japan)のビキニ部門を主戦に戦ってきた佐々木絢美が、8月11日に行なわれたJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催のジャパンオープン選手権のボディフィットネスに出場し、見事に金メダルを獲得した。
移籍のきっかけは、男子ボディビル界のレジェンド・木澤大祐。栃木県在住の佐々木だが、木澤のYouTubeチャンネルを見てトレーニングに対する思いに感銘を受け、昨年からパーソナルトレーニングの指導を受けることに。約1年間、足繁く愛知まで通う中で、2004年に木澤が初めて“日本”の名のつくタイトルを獲得したジャパンオープンに照準を合わせ、この日まで調整を進めてきた。
「もともとはビキニに大会に出場していましたが、トレーニングをもっとやりたい、もっと体を作り込みたいというところで木澤さんとお話しをさせていただきました。筋量を増やしていけるようなトレーニングをしていこうということで、JBBFに移籍するこのタイミングでボディフィットネスにカテゴリーを変更することに決めました」
現在37歳、約8年間にわたりハードにトレーニングを積んできたこともあり、素質は十分。大きく張り出した上半身と、モリっとハードに仕上がった大腿四頭筋はこの日出場した選手たちの中でも群を抜いており、予選、決勝ともに「オール1」のパーフェクトスコアで優勝。JBBFのボディフィットネス界に大きな風穴を開ける、衝撃的なデビューを飾った。
とはいえ、彼女自身は現状、大きな野望を持っているわけではない。高みを目指しつつも、今シーズンに関しては目指しているところは1点、木澤と同じステージに立つことだという。
「まず今日は、木澤さんに選んでいただいたこのジャパンオープンという大会で、木澤さんと同じタイトルを獲ることができ、良い報告ができるのが何よりも幸せです。木澤さんは今シーズンでの選手引退を宣言されているため、10月に大阪で行なわれる日本選手権が最後の大会になると思います。私も同じステージに立ちたい、今はその思いだけです。来月のオールジャパン選手権にも出場する予定ですが、(日本選手権と同日同会場開催の)グランドチャンピオンシップスに出場したいです。今年に関してはそこで、最後にお世話になってきた木澤さんの同じ景色を見られれば十分です」
ボディフィットネスにおいては大谷美咲が昨年まで絶対女王に君臨していたが、今シーズンからはウェルネスカテゴリーへの変更により空位となっており、ニューヒロインの誕生が期待されている。はたして彼女はそこに食い込むことになるのか、約2カ月後、大阪でその結末は明らかになる
▶次ページ:【フォト&ムービー】佐々木のステージショットとインタビュー