「習い事も進路も子どもたちに寄り添いたい」美ボディコンテストに挑んだ親子、深い愛情からできた相互信頼の形【浅岡ファミリー(後編)】




磨き上げた肉体美を競うボディコンテストの舞台に臨んだ一組の親子。浅岡裕美さん(42歳)、那奈さん(10歳、小学5年生)は、ふたりで息ピッタリのステージを披露した。そんなふたりに挑戦の経緯を問うと、もともと母が出ていたコンテストに娘から興味を持ったとのことだ。

【フォト】親子モデル部門に出場した裕美さんと那奈さん

裕美さんは親子でのコンテスト出場について「意外と舞台度胸があったり、普段見えない娘の長所が見えました。親子ふたりで、水いらずの時間を過ごせたのもよかったです」と振り返る。

裕美さん、夫、兄、那奈さんで構成された家族仲は良好。各々が好きなことを共有する雰囲気もできている。子育ての秘訣については「『子どもの得意を活かすこと』と『やってみたいことを応援する』ことを大事にしています」と裕美さん。子どもの自主性を大切にしつつ、しっかりと見守ることで子どもたちは伸び伸び成長している。

よく見ているからこそ、任せられるラインがわかる

とはいえ親として「望む方向に育ってほしい」という思いは少なからずあるだろう。希望と異なる方向に子どもが進もうとした時にはどうしているのか。素朴な疑問だ。

「それぞれやりたいことを見つけて、自分の道を進んでくれればいいのかなと。私はそれを応援するだけです。習い事とかも『もう少し続けてほしかったな』と思う時はありますよ。でも、やりたくないことを無理にやらせてもお互いに辛くなるだけですから。進路も困っていたらサポートしますけど、『ここがいいんじゃない』みたいに言ってしまうと、多分私の先入観が入ってしまうので、あまり言わないようにしています。習い事も進路も子どもたちに寄り添いたいですね」

裕美さんの職業はIT企業の課長職。仕事でも部下のマネジメントなど「任せて、見守る」ことが大事になっている。もちろん丸投げとは違い、相手がどこまでできるのかを把握した上での「任せる」である。その姿勢は子育てのスタンスと似ており、しっかりとしたサポートがあるからこそ部下も子どももよく育つ。

「相手のことをよく見て、必要があれば話して、よく知ることなのかなと思っています。週に1回くらい声をかけたり、進捗を確認したほうがいいのか、しばらく任せて向こうから相談してきたら応じるようにするのか…とか場合によって変えています。もちろん、全部完璧に見るのは難しいですから」

妹・那奈さんのことは「家ではにぎやかですけど、外では静かな内弁慶タイプ」、兄のことは「家でも学校でもあまり変わらない、リーダータイプのしっかり者」と話す。ふたりとも意志が強いタイプなので、基本的には信頼して任せる。学校での出来事もこちらから干渉せず、向こうから話してきたら聞くようにしているようだ。その中でも「嘘をついたら叱る」など締めどころを大事にし、正しい方向に導くことも忘れない。

「何か毎日『どうだった?』って聞かれるのも嫌じゃないですか(笑)」と話す裕美さん。日頃から接する相手をよく見ているからこそ、安心して任せるラインを引くことができるのだろう。

親子で美ボディ大会に出場し、準優勝を飾った

そんな母に那奈さんは、「優しくて面白いところが好き」と笑顔を見せる。母の視野の広さを受け継いだか、娘から無理な要求をすることもあまりないのだと言う。仕事が忙しそうなときは自分で判断してできるところまで進め、後で相談するなど、状況をよく把握できる子どもに成長している。

「これから進路選択もありますけど、子どもの人生なので、自分自身で考えて進んでほしいですね。そこで必要になった時に、サポートする準備はしておこうと思っています。お兄ちゃんは高校進学に向けて、こういう高校に行きたいという話題が少し出て、まだ漠然としているようだったので、『そうなんだぁ』に留め、まだ深くは聞いていません。那奈はこれから吹奏楽をがんばりたいみたいなので、応援したいですね。私自身も親に自由にやらせてもらってきて、よかったと思っているので、これからも子どもたちの意思を尊重していきたいです」

親の愛情が子の自立を後押しし、相互的な信頼関係を形成している。わかりそうでわからない「自然な仲のよさ」の秘訣を紐解いていくと、そこには放任とは違う「信じて任せること」の大切さがあった。

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